長野県千曲市 稲荷山
Inariyama,Chikuma city,Nagano
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Sep.6,2020 瀧山幸伸
重要伝統的建造物群保存地区の空撮動画と車から撮影した動画
重要伝統的建造物群保存地区
Historic district
千曲市は長野県北部に位置し,長野市の南に接する。千曲市の北端,市を南北に貫通する千曲川の西岸に保存地区がある。
天正(てんしょう)10年(1582)頃に稲荷山城が築かれ,城の西側に,南北に延びる町が形成される。慶長(けいちょう)3年(1598)の廃城後,江戸時代には北国西往還(ほっこくにしおうかん)(通称,善光寺(ぜんこうじ)街道)の宿場町として機能し,19世紀初期以降,次第に商家町としての性格をもつようになる。弘化(こうか)4年(1847)の善光寺地震及び地震後に断続的に発生した火災により,町は壊滅的な被害を受けるが,震災復興後,近世末期から近代にかけて,生糸や繊維製品の集散地として,当地方有数の商業地として繁栄した。
千曲市稲荷山伝統的建造物群保存地区は,近世末期から近代にかけて商業地として栄えた東西約200メートル,南北約850メートル,面積約13.0ヘクタールの範囲とする。
町の中央を往還が南北に貫通し,中程に街道が屈折する「鍵(かぎ)の手(て)」をもつ。町の周囲に近世以来の水路や地割(ちわり)を良く残している。敷地は,街道に面して短冊形(たんざくがた)に割られ,街道に面して主屋(おもや)が建てられる。主屋の背後には土蔵(どぞう)や附属屋(ふぞくや)が建てられ,敷地背面が面する裏通りには土蔵が建ち並び,土蔵の間に門(もん)が構えられる。
現存する建物は,弘化4年の震災後の建物で,震災直後のものは,中二階(ちゅうにかい)で,二階の柱や軒裏を壁で塗り上げた形式としている。また,明治中期以降は,本二階で,分厚い壁を軒まで塗り上げた重厚な主屋も建てられるようになる。そのいっぽうで,町の中心部でも茅葺(かやぶ)きの建物が建てられ続け,さらには,茅葺きのような屋根勾配の強い瓦葺きの建物も建てられ,多様な形式の主屋が混在することが町並みの特徴となっている。
千曲市稲荷山伝統的建造物群保存地区は,近世以来の地割と共に,近世末期から近代にかけて建てられた主屋や土蔵などの伝統的建造物を良く残し,近世から近代にかけて栄えた商家町の歴史的風致を良く伝える。
(文化財データベース)
南側から北へ
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