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奈良県奈良市 奈良少年刑務所

Nara Juvenile Prison,Nara city,Nara

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June 2020 酒井英樹

 

旧奈良監獄
     奈良県奈良市


撮影時期:2018年11月

 明治34年(1901)、政府による第一期監獄改築計画として、千葉【明治40年竣工、正門・事務棟のみ現存】、石川【明治40年竣工、正門・中央看守所・監房は明治村に移築し現存】、長崎【明治40年竣工、正門のみ現存】、鹿児島【明治41年竣工、石造の正門のみ現存】の監獄とともに(いわゆる五大監獄)計画され、現在地に新築したものである。明治34年(1901)から工事に着手し、五大監獄では最も遅い明治41年(1908)7月に全施設が完成した。
 設計は、司法省営繕課長の山下敬次郎とみられる。、山下は、現在の鹿児島市に生まれ、明治25年(1892)帝国大学造家学科を卒業後、警視庁技師を経て明治30年(1897)5月に司法技師となり、明治33年(1900)より司法省営繕課長を務めた。明治34年(1901)8月から明治35年(1902)4月までの8ヶ月間に欧米8カ国を歴訪して約30の監獄建築を視察した。帰国後の明治36年(1903)に司法省大臣官房営繕課長となり、昭和5年(1930)に退職した。この間多くの監獄や裁判所の建築に関与したと考えられ、奈良監獄の他、千葉監獄や鹿児島監獄の設計を担当したと推察される。
奈良監獄はその後、大正11年(1922)に奈良刑務所に改称し、昭和21年(1946)には奈良少年刑務所と改められたが、平成29年(2017)3月をもって廃止されている。
 この間現役の施設として工場等の増設が行われたが、明治期の建造物は大きな改造を受けることなく、明治期の建造物17棟と周囲レンガ塀2基が現存する。
今後は監獄ホテルとして使用されることとなり、現在不要とされた後世の構造物の撤去が進められ、当初の明治期の建造物の改修が行われている。

 奈良市中心部北方の南北261m、東西250mの方形の敷地の中央に中央看守所及び事務所を東を正面に配し、5棟の舎房(第一寮~第五寮)を中央看守所を要として北から反時計回りに扇形に並べるハビランドシステムを取り入れ得ている。

≪中央看守所及び事務所≫

         

〈内部〉

          
 正面の南北棟と奥野東西棟からなるT字形平面の事務所と、奥の半八角形平面の中央看守所からなる。煉瓦造、二階建、地下一階で、床組は1階を煉瓦造の耐火床とするほかは木造とし、小屋組も同様に木造である。屋根は桟瓦葺一部委銅板葺とし、大棟両端部に尖塔を据え、要所に煉瓦造煙突やドーマー窓を付けている。

≪第一分房監(第一寮)≫

    

〈内部〉

     

≪第二分房監(第二寮)≫

  

〈内部〉

  

≪第三分房監(第三寮)≫

     

≪夜間寝房(第四寮)≫


    

≪雑居監(第五寮)≫

     

〈内部〉

 

 いずれも煉瓦造、二階建、一部地下一階で、それぞれ中央看守所と渡廊下で接続する。
桁行は、第一寮及び第二寮:66.9m、第三寮:58.6m、第四寮:66.4m、第五寮:73.7mで、梁間はすべて11.0mで統一されている。
 屋根は切妻造、桟瓦葺で棟頂部に明かり取りとして腰屋根を3箇所(第三寮のみ2箇所)付す。外観は煉瓦壁を表し、欠円アーチの窓を並べ、基礎部は花崗岩と焼過煉瓦で布基礎状とし、壁頂部にロンバルド帯を廻らしている。

≪雑居監附属工場≫

    

≪夜間寝房附属工場≫

     

 いずれも木造、二階建の建物で、屋根は半切妻造の桟瓦葺とする。外観はモルタル塗仕上だが、当初は下見板張であった。

≪構内仕切兼男拘置監浴場接見所≫

  

≪構内仕切兼病監浴場接見所≫

   

 いずれも東側をアーチを連続させた開放的な廊下を持つ、煉瓦造、平屋建、寄棟造、桟瓦葺の建物。桁行は、構内仕切兼男拘置監浴場接見所:28.2m、構内仕切兼病監浴場接見所:75.7m、梁間はどちらも7.0m

≪北倉庫≫

       

 煉瓦造一部木造で、平屋建、切妻造、桟瓦葺。中央やや東寄りを南北通路とし西に2室、東に1室を設ける。通路出入口上部にぺディメント状の妻壁を、前庭側の窓、扉口上部に鉄板葺の庇を付す。

≪拘置監≫

   

 未決囚を収監する建物。T字形平面になる煉瓦造、平屋建、切妻造、桟瓦葺で、中央に八角形平面で宝形屋根の塔屋を持つ。

≪医務所≫

    

〈内部〉

         

 煉瓦造、平屋建、切妻造、桟瓦葺で、中央に八角形平面で宝形屋根の塔屋を持ち、拘置監と共通する外観を持つ。

≪病監≫

    

 コの字型の平面を持つ煉瓦造、平屋建、切妻造、桟瓦葺の建物。

≪精神病躁狂監≫

    

 煉瓦造、平屋建、寄棟造、参瓦葺で、1室の鉄格子窓付独居房と前室よりなる。天井は板葺で高く、外観は四隅にバットレスを付し、バットレス頂部や欠円アーチの周囲を花崗岩を用いて装飾し、壁頂部にロンバルド帯を廻らす。

≪表門≫

     

 煉瓦造、二階建で、本体は寄棟造、桟瓦葺とし、正面側両脇を円形平面で張り巡らせドーム屋根を載せる。中央に門口を開いて、南北に部屋を設ける。円形部は北は見張所、南はらせん階段を設ける。
 外観は中央門口上部にペディメントを立ち上げ、バラ窓風の丸窓を設ける。壁頂部にはロンバルド帯を廻し、アーチや開口部周りには花崗岩でアクセントを付ける。

≪周囲煉瓦塀≫

     

 表門を中心に敷地の東正面と南面、北面を取り囲む煉瓦塀。北側は延長306.1m、南側は321.2m、高さはともにおよそ4.6m。
 敷地内は脱走防止のため平滑な煉瓦積とし、外側は柱梁形及びバットレスを並べる。


 旧奈良監獄は、明治政府が監獄の国際標準化を目指して計画したいわゆる五大監獄のうち、最後に建設された最も完成度の高い監獄であり、シンメトリックに整然とした配置計画、煉瓦で統一された外観など、意匠的に優秀であり、完全な姿を残す唯一の意向であることから貴重であり重要文化財に指定されている。

 


Mar.2017 瀧山幸伸 source movie

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            


Oct.9,2016 野崎順次

法務省は2016年7月28日に、明治政府が全国に建設した「五大監獄」で唯一現存する奈良少年刑務所(奈良市)を廃止し、保存・活用のために民間の事業者を募集すると発表しました。

奈良少年刑務所の建物は旧司法省技官の山下啓次郎氏の設計で1908(明治41)年に建設され、屋根をドーム状にした表門や庁舎から5棟が放射状に広がる受刑者収容の舎房などが特徴です。ゆくゆくは重要文化財にしていく方向で進められそうです。

(「DEEPだぜ!奈良は。」サイトより)

 煉瓦造りの外塀、正門(表門(ひょうもん)と称する)が特徴。内部の建物もその大半が100年以上にわたって使用されている煉瓦建築である。武道館に相当する建物等は新規に改築されている。一部には戦後、旧陸軍の建物を移築した施設もある。

 山下啓次郎(司法省営繕課)が設計。千里久春吉の名前も設計者の一人としてあがっている。

 日本政府は奈良監獄を監獄近代化・西洋化の歩みの到達点とし、1910年(明治43年)にロンドンで開かれた日英博覧会に模型を出展した。現在も竣工時の様態がよく残り、日本の近代化の一側面を示す遺構として貴重である[2]。

(ウィキペディア「奈良少年刑務所」より)

遠景

    

正門

            

正門細部

             

塀の中

     

外塀

      

殉職刑務官の碑

   


事務局用

 

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