奈良県奈良市 都祁山口神社
(Tsuge Yamaguchijinja, Nara City, Nara Pref.)
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February 23, 2021 野崎順次 source movie
奈良県奈良市都祁小山戸 640
以前から気になっていた地域がある。大和平野東方の纏向川と初瀬川をさかのぼった先、大和高原にある都祁村だ。古代「闘鶏(つげ)」とよばれた国があったところで、奈良盆地と伊賀盆地の中間に位置し、国中(くになか)とよばれる奈良盆地の東にあたるため、東山中(ひがしさんちゅう)ともよばれてきた。訪ねたことはなかったが、なにか大和の「まほろば」のような印象をもっていた。標高400
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500mの高原で、国中から見ると天上の世界ともいえるところだが、そこに式内大社・都祁山口神社があり、神社の裏山に「御社尾(ごしゃお)」」とよばれる磐座があるという。
「まほろば」といえば、ヤマトタケル(日本武尊)が病み疲れ、最後のときが近づいたことを悟り、三重県能褒野(のぼの)で、故郷の倭を偲んで詠んだ歌がある。
倭は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠(やまごも)れる 倭しうるはし
倭はすばらしい国、重なりあって青い垣をめぐらしたような山々、その山の中に籠る倭ほどうるわしい国はない……。慟哭とともに、まるで絞りだすかのような悲鳴が聞こえてくる。ここにいう「青垣 山隠れる」という表現は、国中とよばれる奈良盆地より、都祁村がある東山中のほうが似つかわしいと思っていた。というのも、都祁山口神社の鎮座地が「小山戸(おやまと)とよばれているからだ。地元では「オウヤマト」と発音しているという。
(池田清隆『磐座百選 - 日本人の「岩石崇拝」再発見の旅』2018.01.25. 出窓社)
現地説明板と遠景
鳥居、狛犬、参道、神門?
拝殿、本殿、摂社
その他境内
磐座に向かう参道は、樹木の根が地表に張りだし、鞍馬寺の「木の根道」を思わせる景観が山頂へと続いている。都郡氏の氏神たる由縁だろうか、参道の途中に「都祁直霊石」と刻まれた石碑があり、しめ縄とともにサカキが供えられていた。
(池田清隆『磐座百選 - 日本人の「岩石崇拝」再発見の旅』2018.01.25. 出窓社)
やがて山頂近くに鳥居が見えてくる。樹木にさえぎられて全貌がよく見えないが、鳥居の先には、全長約14mという巨大な岩塊がどつしりと腰を据えている。御社尾の磐座だ。磐座の前は、祭壇のようになっており、サカキを供える石柱が並び、一対の石灯籠が立っている。左側の灯篭付近から見ると、巨大なカブトムシがうずくまっているように見えるが、中央部に大きな亀裂があり、陰石のようにも思える。山の神を祭神としているが、御社尾の神は、やはり女神なのだろうかと、ふと思った。神社周辺は高原特有の田園風景がひろがり、「まほろば」の雰囲気が漂う。この地区は都祁村のなかでも、古式古墳が最も多く分布しているという。祭神をオオヤマツミ(大山舐命)とし山霊を祀るとあるが、水分神の降臨伝承からすると、水神が宿る磐座でもあったのだろう。
(池田清隆『磐座百選 - 日本人の「岩石崇拝」再発見の旅』2018.01.25. 出窓社)
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