Monthly Web Magazine (Nov.1, 2009)
■■■ 「彼女のできた息子はあてにはならない」 柚原君子
俺オス猫。結婚暦なし。
そんな俺には想像できない話だけど、壁にもたれて眠っていたときに耳に入ってきた話を今日はしよう。
俺の飼い主は60歳。その息子は32歳。
嫁をもらうらしい。
息子は常々「かあちゃんのそばにずっと住んで、できたら二世帯住宅を建てよう。
あっ、でもこの家はかあちゃんとおとうちゃんが買った家だから、この家はかあちゃんの老後に役立つようにとっておいた方がいいね。
俺はやっぱり自分の力で自分の家を買うよ。
嫁はかあちゃんの家の近くに住んでもOK、という人しかもらわないから安心しなよ。
俺はPC仕事だから今の俺の部屋はそのまま仕事部屋にできるから、俺の買った新しい家からかあちゃんの家に通ってくるから。
それなら心配ないだろ。寂しくないだろ。
かあちゃんを一人にしておくのはやっぱり心配だものなぁ」。
優しい息子!涙がこぼれそう、とかあちゃんは思ったが、すぐにこうも思ったそうだ<その優しさは彼女ができたらきっと彼女にワープする>と。
悲しい予言は良く当たる(笑)。
息子に彼女ができた。
結婚をするから!ブランド物にも縁のない落ち着いた娘だよ。
彼女は江東区に住んでもいいっていうんだけど、彼女の仕事が作業療法士で、ずっと仕事を続けたいんだって。
でもね、(ホラ来タ!)俺たちこれから子どもも欲しいし、そうなると、田舎っぽいおっとりした彼女が、職場も東京の病院に変えて、環境ががらりと変わった中で子どもを産むのは大変だと思うんだ。
俺も都内の狭くって高い家を買うよりは、広くって庭もある家にしたほうがいいと思う。
かあちゃんの部屋もあるような大きな家を春日部に買うから、かあちゃんは仕事をリタイヤしたら俺たちの春日部の家に来るといい、彼女は江東区に住んでもいいよ、って言うんだけど、おれが考えたことなんだけど……どうかなぁ……」
俺の飼い主はショックだったらしけど二三日後に毅然と立ち直った!
嫁が元気に暮らせる場所で暮らしたほうが息子にも幸せ。
ひいては私の幸せ。
そうだ、東京大地震で我が家が壊滅したら春日部の家に行こう!と。
そんなわけで今日の話は<悲しい予言は良く当たる>・<彼女のできた息子はアテにならない>、の二題だ。
俺オスだけど嫁いないからこの話関係ない。
でも、俺の飼い主、暇になって俺にちょっかい出すこと多くなるだろうなぁ。
やれやれ(ため息)
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