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■■■ 「オルセー美術館のEugenie Fiocre像」 野崎順次

印象派の絵が好きなので、欧州出張のついでにパリのオルセー美術館に数回行っています。

あれは阪神大震災のあった年ですから、1995年の秋です。

やはりオルセーを訪れたのですが、人恋しかったのか、2階の美しい裸像の彫刻群に吸い寄せられました。

自分の髪を持ち上げている少女像などは、これが石膏でできているとは信じられないほど繊細な作品です。

その中である胸像が目に留まりました。上品な顔立ちで少ししゃくりあげた鼻先が何とも言えません。

それは彫刻家ジャン=バティスト・カルポーの作品で、モデルはEugenie Fiocre(1845 ? 1908)というパリ・オペラ座で活躍したバレエダンサーです。

名前をカタカナで書くとウジェニー・フィオクルとなるそうですが、字面が気に食わないので仏名で書きます。

彼女は画家エドガー・ドガのモデルも務めており、1867年ころの作品「Mme Eugenie Fiocre in the Ballet La Source」があります。

彼女は順調な人生を送ったようです。

クレキ・ ド・クルティロン=モンフォール侯爵と結婚し、彼らの子息、ジョルジュ・ド・クレキ=モンフォールは、探検家・人類学者・外交官として知られ、オリンピックの射撃競技に2回出場しています。

1995年の次に会えたのは2002年でした。

パリで夕方の1時間しか時間がなく、しかもオルセー美術館は東欧諸国開放の影響で観光客が長蛇の列でした。

3回目は2008年で、この時は日曜日でゆっくり時間がありました。

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