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Monthly Web Magazine (Apr. 2010)

■■■ 桜の情景 瀧山幸伸

Cherry blossoms and Japanese culture

江戸末期以降、いわゆる「桜の名所」のほとんどはソメイヨシノに占拠されてしまった。

ソメイヨシノの夜桜は豪華絢爛ではあるが、それゆえに大勢が集まる。

花勢はにぎやかで良いのだが、寿命は非常に短命で人と同じ。

千年桜など、日本文化では一本桜の古木を擬人化することが多いが、ソメイヨシノの老樹の姿には哀しさが漂う。

一方、何世代にもわたって人を見守ってきたヤマザクラやエドヒガンにはアニマが感じられる。

西行の歌には喧騒や泥酔は似合わない。

ということで、文化財と関係のある桜にはソメイヨシノは少ない。

こちらの「桜の情景」は文化財との関係を重視して選んだため、桜文化を楽しむ人や桜文化を創造する側の人には役立つのではなかろうか。

新しい童話や小説や映画が生まれることを期待している。

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