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Monthly Web Magazine (Aug. 2010)

■■■ 「言葉のあぶく」その2 野崎順次

10年くらい前から、おもしろかった話や、ふと思いついたことをメモしています。

・ 朝の通勤電車(阪急電車)で、前に赤ら顔で太っているおじさんが座っている。右手の手首が上下に動いたままで止まらない(いわゆるヨイヨイ状態)。脳梗塞の後遺症と思われるが、妙に元気そうな様子である。終点の駅に着いたら、その手首の動きが止まって、おじさんは掌の中を見ている。万歩計を持っていた。

・ 大抵のスリランカ人はブルースリーが日本人だと思っている。また、「おしん」のような娘が未だに実在すると思っている。

・ 横浜市戸塚区平戸町は国道1号線が横断している。その南側の住宅地を孫と散歩していたら、ジャージ姿でウェストポーチを付けた白人が道を聞いてきた。「東海道はこの道でいいのですか?」と、坂道の上の緑の標識を指差す。「あれは道の標識ではなく、スクールゾーンを示すものです。それにしても、あなたはどこへ行きたいのですか?」と聞くと、小さな声で「京都」と答えた。旧東海道を京都まで歩いて行くのだそうだ。このあたり、旧東海道は北側の丘陵の尾根伝いを進み、品濃坂を下り桜並木の道を西南に行ってから、1号線と交差する。その交差点を教えてあげた。それにしても、横浜で京都への道を聞かれるとは。

・ あるインテリ女性のことである。時々、妙なことを聞く。例えば、「大阪は盆地?」、これは大阪の国際会議場の展望フロアから西、北、東の山しか見えなかったとき。古い民家の主梁にアーチ状にまがった大木が使われているが、「あんな大木をあぶって曲げるのは大変でしょうねえ」。竹のヒゴをあぶって徐々に曲げていくのが念頭にあったらしい。

・ 同じ彼女、ある小説受賞式の招待状をもらった。高名な作家に著作のサインをもらう絶好の機会である。でも、単行本は重いので、文庫本を持って行ってサインをもらった。さすがにその作家は苦笑いしていたそうだ。

・ 京都の大徳寺瑞峯院で、廊下に英語の立て札があり「no down」 と書かれている。枯山水の庭に降りるなとの意味である。

・ NHKFM「トーキングウィズ松尾堂」で水族館コンサルタントが云っていたが、浦島太郎が助けた海亀の種類と性別が分かるそうだ。アカウミガメの雌だけが産卵のために陸に上がる習性がある。

・ 家の近所に出会うと必ず声をかけてくれる愛想のいいオバハンが二人おられる。でも早朝の場合には顔をそむけたままで挨拶される。一人はよく家の前で洗濯ものを干されているが、明らかに泡状の顔パックをされておられる。一度などは出会いがしらで顔を見合わせて、思わず笑ってしまった。もう一人のオバハンは家の前の掃除中であるが、化粧前らしい。それなら、二人とも、一応、お化粧してから表に出ればいいと思うが、邪魔くさがるのがオバハンたる所以であろう。ちなみに関西でオバハンは敬称とされる。

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