MONTHLY WEB MAGAZINE Oct..2010
■■■ 「犬の宮・猫の宮」 瀧山幸伸
山形の高畠町は、先史時代からの洞穴住居跡が多く残る歴史のある地だ。
高安(こうやす)という奥羽山脈山裾の集落に犬の宮・猫の宮を発見した。
ペットの写真が社殿に貼られているので、最近流行の客寄せ神社もどきと思いきや、それなりの由緒いわれがある。
犬の宮は、「高安犬」にゆかりがある。
高安はマタギの村で、狩猟用の高安犬は秋田犬や土佐犬とは違い、この小さな集落でしか飼われていなかったために、昭和初期に絶滅した。
この犬種のルーツは甲斐犬と言われている。
マタギの村はかつて全国各地にあった。
秋田の阿仁や百宅のマタギ習俗と、柳田邦夫が調査した宮崎の椎葉の狩猟習俗とが酷似している。
最近特に山間辺境部の集落の崩壊が目立つ。
狩猟や焼畑など、山の民の文化が日本列島各地で共通する、同じ習俗がアジア各地に残る、ということも、後継者への伝承がなくなってしまったら忘れ去られてしまう。
「 もののけ姫」などのフィクションの世界でしか語り継がれなくなってしまうのだろうか。
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