MONTHLY WEB MAGAZINE Jan.2011
■■■ 秋明菊のこと 野崎順次
晩年に田舎の家ができた。子供のない叔父夫婦が住んでいた。
近くに祖先の墓が13基ある。その叔父と養子縁組をした。いわゆる墓守り養子である。
家の前にちっぽけな三角形の畑地がある。未だに秋になると、叔父が愛でた上品な白い花が咲く。
一般に秋明菊と呼ばれるが、菊ではなく、キンポウゲ科の多年草でアネモネの仲間である。
学名はAnemone hupehensis var. japonica、英文名はJapanese anemone (日本アネモネ)。
別名が多く、貴船菊、秋牡丹、しめ菊、紫衣菊、加賀菊、越前菊、唐菊、高麗菊、秋芍薬などなど、やはり、日本では菊の仲間と考えられがちである。
原産地は中国で、日本には大昔に渡来して野生化したらしい(史前帰化植物)。
花の色は白が一般的と思っていたが、本来は紅紫で、白、ピンクは交配品種とのこと。
花は花弁状の萼片が目立ち、本物の花弁はない。
花期は通常9〜10月だが、今年は夏の異常猛暑の影響で、11〜12月であった。
ヨーロッパで人気が高いそうで、そういえば、ロンドンの住宅地やハイドパークで見かけた覚えがある。
花言葉は、「忍耐」「薄れゆく愛」「多感なとき」
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