MONTHLY WEB MAGAZINE Feb.2011

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■■■ 近代化産業遺産の旅 瀧山幸伸

一月は二つの産業遺産を巡った。

一つはトヨタのルーツ、静岡県湖西市の豊田佐吉記念館。佐吉の発明の原動力となった母への愛が心を打つ。

もう一つは、日立・日産グループのルーツ、茨城県日立市の日鉱記念館日立市郷土博物館だ。

日鉱記念館は日立鉱山の跡地に建つ。竪坑櫓や坑道がそのまま保管され、かつての工場、病院、社宅などの敷地が往時をしのばせる。

日立市郷土博物館では百年の歴史に関する写真展が開催されている。

日立と、古川グループのルーツの足尾とを比べると、イノベーションのスタイルと公害への取り組み姿勢の差が学べて興味深い。

日本の発展に貢献して来た産業遺産と技術が、環境など次世代の技術に発展していることが頼もしい。

先人の情熱と知恵を学び、未来への夢を育みたい。

産業分野はこちらのページに分類してあるが、近代化遺産(日本の近代化に関する産業遺産)にもこの数年ようやく光が当たるようになってきた。

富岡製糸場などの世界遺産登録運動が活性化する一方、 「工場もえ」という奇妙な言葉も生まれているし、「廃墟」が猟奇煽情的に取り上げられることも多い。

産業の空洞化、再活性化に関しては、歴史も現場も深く学ばないで、机上の空論を展開したり感情論に流されている人々が多いのも悲しい。

教科書やマスコミで学ぶよりも、現場で学ぶことが大切だ。産業博物館で一泊二日の実体験学習をしたほうがよほど多くを学ぶことができるのではなかろうか。

児童生徒はもちろん、就職を検討する学生も、社会人もリタイア層にも、遠足の目的地としておすすめする。

以下の図書は、清水さんと増田さんの名コンビで出版された、楽しみながら学べるガイドブックである。

『ニッポン近代化遺産の旅』清水慶一(文)増田彰久(写真)2002年 朝日新聞社

清水さんの見識に遠く及ばず、増田さんの写真術の足元にも及ばない私は幼稚園生程度の実力だが、この分野で頑張れる動機は、臨場感あるビデオを撮影することくらいか。

今後も四季折々その土地の地理や歴史や人々をしつこく取材し続け深く学びたいと願っている。

豊田佐吉の生家

日鉱記念館の竪坑櫓

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