MONTHLY WEB MAGAZINE Apr.2011
■ 「地震のあとの日光の風景」 田中康平
地震の2週間後、少し落ち着いたこともあり日光の状況を見てきました。
今市付近の杉並木を少しだけ歩いてみましたが特に倒れた木もありません、いつもより更に静かなたたずまいでした。日光の2社1寺は拝観料を払わずに済む範囲で見てきました、東照宮は外からは何の変化も感じられません、中で石灯籠が倒れたところがあったようですが、外にある石灯籠は健全でした。五重塔も変化は感じられません。ただ、訪問客数が異様に少ないのが印象的です。地震の影響はハードよりも人の心に多く現れているようです。二荒山神社や大猷院も同様です。
大猷院横の小道を上がるとミソサザイが甘く鳴いていました。これくらいでどうした、といっているようでした。こんなことで落ち込む人の心が問題なのかもしれません。鳥はあの恐竜絶滅の大異変を鳥という姿に身を変えることにより生き残ったといわれています。それに較べればこのくらい、なにくそこれくらい、と思わねば人は立ち上がれないのではないか、潰れてしまうのではないか、と思えてきます、今の雰囲気にはちょっと危ない感じが感じられます。
奥日光 中禅寺湖や竜頭の滝 遊歩道辺りも見て気ました。雪がこの時期にしては異様に多いのが目に付きますが、取り立てて変わったところはありません。地震発生時奥日光にいた人の話では山鳴りがしてこれは火山の爆発が起こるのではないかと思えたそうです。いろは坂は下りが地震当日一部崩れたようですが直ぐに復旧したそうです。
ここも3月半ばの休日にしては本当に人が少ない状態でした、誰もいない竜頭の滝を初めて見ました。津波被害のようなすさまじい破壊にあわずとも非常に多くの人の心が痛んでいるのを感じずにはいられません。
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