MONTHLY WEB MAGAZINE July.2011

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■ 絶滅危惧?? 酒井英樹

 仕事の合間の昼休み・・職場の端を流れ淀川の河川敷で四季折々の花たちを眼の、鳥たちの囀りを耳の保養としながら、弁当を広げるのが、今の現在のマイブーム。

 少し前まで鶯が盛んにさえずっていたが・・今は燕が忙しく飛び回りながら・・小さな声で・・地鳴きを繰り返している。

 名も知らぬ小さき蝶々たちが所々に咲き誇る花の蜜を求め飛び回っているのを眺めると、都会(一応40万都市の中心部)の喧噪を忘れさせてくれる。

 一見のどかで心を癒すこの風景・・・・でもいろいろな問題を孕んでいます。

ヨシキリの囀り (wav 500KB)

 平和に囀る鳥たちはともかく、今そこにある危機が迫っています。エイリアン達の侵略が・・。

 淀川の上流である琵琶湖は顕著で有名ですが、全国各地でいわゆるブラックバス・ブルーギルの類が在来の魚種を脅かしていることは周知のことで、淀川も例外ではありません。淀川には固有種で天然記念物のイタセンパラというタナゴの仲間が住んでいたが、案の定・・水質汚濁、外来種による稚魚達の駆逐、人間による乱獲という三種の神器で絶滅寸前まで追いやられています。いまや細々と生息していることが確認できているのが現状・・しかも、残念ながら生息地は・・密漁防止の観点から公表は出来ないのが現状です。

 しかし、イタセンパラの保護や外来魚の駆除はまだ土俵際とはいえ対策が練られているだけまだマシな方です。

 実は河川敷の植物分布は面積にして80%以上がエイリアンなのです。有名なセイタカアワダチソウを初めとして本来河川敷にいないはずの植物が大半を占め・・現時点では手の着けようがない状況なのです。

 動物類と異なり対策を始める前から・・そして知らず知らずのうちに川の植生の世界では侵略者の世界になってしまっています。河川を管理する者でさえ、土砂で出来た堤防を守るため表面にしかれた野芝を植えていました。本来河川敷にない芝もまた河川敷の原住民から見れば侵略者と変わりないのです。

 ガーデニングと呼ばれる家庭での行為も侵略の手助けを助長しています。以前、自然保護団体の役員の方のお宅を訪れた際唖然とした覚えがあります。在来種の保護を訴えるこの方の庭には一面綺麗に咲き誇る横文字だらけの舶来の花々。一見環境によいかもしれないこれらの植物・・でも、受粉した花々の子孫は様々な移動手段を使って知らないうちに自生し勢力を拡大しているのです。

 今、カラフルな鳥が目の前を飛び去っていった・・。おそらく・・ペットとして育てられていた観賞用の鳥達の子孫だろうと思えます・・。鳥かごから逃げた・・色とりどりの鳥たちは亜熱帯化した日本の都会の風土に馴染み繁殖をし勢力を延ばし次第に在来種の驚異となっています。

 そう思って今鳴き続ける鶯などの小鳥の囀りを聞いていると・・彼らの切実なる悲鳴に聞こえてきた・・・。

 そういえば・・3月11日・・日本国中が地震一色だったこの日・・静かに・・姿を消してしまった鳥がいたっけ・・その話は次回に・・(続くかな・・・)

追伸、

 全国の人に読まれていることを前提にしているので、一応、淀川について少し触れておきます。京都府中部を源とする桂川、福井県と滋賀県境を源流に滋賀県内の水を集めて二歩日の湖の琵琶湖から流れる宇治川、三重県の名張地方を源として流れる木津川の3河川が淀で合流し淀川となり大阪湾に流れる一級河川。幹川流路延長は短いながらも、三重、滋賀、奈良、京都、大阪、兵庫の2府4県に多くの支川を抱えるため流域面積が広く、沿川には大阪市、京都市など京阪神地域があり近畿地方を代表する河川です。

 

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