MONTHLY WEB MAGAZINE Nov.2011
滋賀県長浜市にある千手院(せんじゅいん)には、平安時代作の秘仏・本尊・“木造千手観音立像”があり、33年毎に開扉されます。
この秘仏の身代わりに“御代仏”が存在し、毎年11月4日半日だけ開扉されてきました。
昨年2月、毎年行われる『文化財防火デ−』の点検にやってきた市教育委員会の担当者が、この御代仏を拝観した際ヒラメキ?が
起こり、其の後、県・国共同で詳しい調査をしたところ秘仏本尊と比べても遜色の無い、平安時代前期(9世紀頃)の仏像であること
が判明。その結果、今年23年6月、市・県を飛ばして一気に国重要文化財に指定されました。
この珍しいスピード出世に関係者は驚きと喜びで一杯です。でも地元は、何時もと変わらない静かなお参りが行われていました。
開扉前後の千手院
木造千手観音立像(御代仏・・・天衣着と上半身裸形(天衣脱げる構造になっている。)
上半身と背面
四角張った顔に太い眉と切れ長の目、豊かな肉取りと明快なくびれをもつ上半身からは、42本の太づくりの腕が広がっている。
量感のある下半身には深く厚みのある衣の襞(ひだ)が躍動的に彫り込まれ、大きな波と小さな波を繰り返す衣の襞や随所に
見られる渦巻き文様は、まぎれもなく平安前期の彫刻の特徴を示していると説明されています。
今年も11月4日に、新指定の“御代仏”が開扉されました。そして来年は“33年目の”秘仏“が開扉されます。しかも同時に!
美術・工芸の重要文化財を所有する社寺はその歴史や建造物にも多くの故事来歴が秘められており見逃せません。
毎月のように、調査などで判明した新しい情報が各地で発表になっています。うれしい事と思います。
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