MONTHLY WEB MAGAZINE Nov.2011
■ 今年の紅葉 田中康平
今年は長雨のせいで紅葉の進みが今ひとつのところが多いように思っています。10月16日、日光東照宮の裏山1000mくらいのところでは、ハウチワカエデが枝によって緑のままと赤くなっている葉がわかれていました。秋の深まり方が一様でなく北から渡って来る冬鳥の到来も遅いようです。山にはこの時期あまり聴いたことのないイヌのようなサルの鳴き声がひっきりなしにして、いつんもと違う落ち着かないような秋です。10月29日に山王峠を越えて福島の只見のブナ林を見てきましたが途中の山王峠手前の鬼怒川上流のモミジは今ひとつさえません、赤くならずにそのまま茶色く枯れていきそうなたたずまいです。たどりついた只見のブナ林は美しく朝日の中の透明な秋の景色がいつまでも浸っていたい心地よさを与えてくれました。場所によって当たり外れの大きいのが今年の紅葉のような気がしています、もしかしたら毎年多かれ少なかれそうなのかもしれません、まだら模様で僅か数日しか楽しめない時の移ろいが豊かな日本の秋そのものの様に思えてきます。
日光東照宮裏の稚児ヶ墓へ向かう山道にて
山王峠の手前にて
只見のブナ林にて
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