MONTHLY WEB MAGAZINE Sep. 2012
■■■■■ 睡蓮(スイレン)と蓮(ハス) 中山辰夫
各地の情報が多く投稿されたスイレン・ハスのシーズンも終わった。
最近では、家庭内で育てる人も多く、「癒されセット」の名で通販でも取り扱われているとか。
当方の近辺、草津市では、蓮海寺(スイレン)と烏丸半島(ハス)で見ることが出来ます。
蓮海寺のスイレンは、近江興志記にも紹介されており、江戸期より育成が行われていました。
現在は僅か残っているだけです。
蓮海寺
スイレンとハスとは別系統の花であり、生態もかなり異なる。
スイレンは、日の出と共に花開き夕方には閉じることから、古代エジプトでは「太陽の花」と呼ばれたようです。
花は1〜2週間、開閉を繰り返した後、力尽きたように枯れ、枯れた花は水中に隠れて二度と姿を現わさない。
ハスは、原産地がインド亜大陸、花期は7〜8月。花は「蓮華(れんげ)」といい、中国では「荷」の字も用いる。
仏教では、泥水の中から清浄な美しい花を咲かせることから、仏の智恵や慈悲の象徴とされ、蓮華の文様は仏像の台座である蓮華座など様々な場所に意匠されて用いられてきた。花言葉は「雄弁」である。
蓮は次々と花開き、枯れた後も褐色に変じたまま水面に残り、やがて高貴な形の花托に黒い実をつける。
烏丸半島
スイレンとハスのこれらの花の運命を見た人の感想はさまざまとか。
「スイレンはいさぎよいなあ。美しいところだけ人に見せて、枯れたら表に出ないのか。」「いや、枯れた後も堂々と人前に姿をさらしてありのままに生きているハスの方が自然ではないか。」と、スイレン派、ハス派に分かれるが、齢を重ねるに従ってハスの生き方に共感を覚える人が多くなるのかも。(参考資料:花巡礼)
9月の蓮海寺とハス池
志那港の跡にひっそり佇む蓮海寺には、俳諧の祖、山崎宗鑑の「元朝のみるものにせん不二の山」の句碑のほか、重要文化財木造地蔵菩薩像や湖上交通用の常夜灯が残っています。
蓮の名勝でもあった浜は埋め立てられ、湖岸道路が築かれ、かつての絶景は大きく変貌しましたが、対岸の比叡、比良の山並み、広がる琵琶湖を今なお遠望できる志那の風景は、心に安らぎを与えてくれる。
蓮海寺周辺
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