MONTHLY WEB MAGAZINE Oct. 2012

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■■■■■ 日本の石油遺産 瀧山幸伸

エネルギーの話題に事欠かない日々。

犬も歩けばなんとやら。9月の調査旅行のついでと言っては何だが、石油関連の近代化遺産を二つ訪問した。

一つは、新潟県胎内市黒川のシンクルトン記念公園

日本書紀に、天智天皇の七年(668年)、「越の国、燃土、燃水を献る」とあるのは、この地 と言われる。

黒川臭水(くさうず)として有名で、昔は黒い川が流れるほど湧出したので黒川と言う地名が付いたそうだ。

確かに石油湧出源の黒い色の溜りというか、どぶのようなものは、アスファルトとタールと重油をぶちまけたような池で、ぼこぼこと泡が上がっている。

明治になるまではシダを使って採油をしていたそうだが、明治に入り英国人医師のシンクルトンの指導を受け、木枠櫓による掘削に変えたそうだ。

昭和30年代に稼働停止するまで、千年以上の歴史を持つ点が興味深い。

資料館の正面からは、敷石の割れ目からシューシューと天然ガスが噴き出している。その脇の「火気厳禁」という立て札が驚きだった。

池の石油や噴き出している天然ガスに火をつける体験イベントがあれば嬉しいのだが、無理な相談だろうなあ。

もう一つは、新潟県出雲崎町の尼瀬油田関連遺産。

経済産業省が認定した近代化産業遺産の石油の部の一つで、機械掘石油井戸R-1号ポンピングユニット、綱掘式石油井戸C-2号、出雲崎石油記念館収蔵品が見学できる。

宝田石油(後に日本石油と合併)が掘削したもので、手掘りから機械掘りに代わり、効率が画期的に向上した。こちらの機械は明治30年から昭和60年まで使用されたそうだ。

経済産業省が認定した近代化産業遺産の石油の部には以下のようなものもある。

何気なく使っている石油や天然ガスなど、エネルギーの歴史を知ることは有意義だと思うのだが、観光の人気はないようだ。

観光人気を尺度にすればJapan Geographicの存在意義も無くなるのだが、、、、

秋田県潟上市豊川油田

秋田県にかほ市院内油田

新潟県新潟市秋葉区金津油田(石油の里公園)

静岡県牧之原市相良油田

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