MONTHLY WEB MAGAZINE Nov. 2012

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■■■■■今年の紅葉と気象の話 田中康平

秋も大分深まってきた。毎年この時期になるとあちこちの紅葉情報が気になってくる。

テレビで流される紅葉情報は大体が行って見るとちょっと早いことが多くて控えめに出かけるようにしている。

今年は遠方から来た友人を案内して奥日光まで出かけることが10月中旬にあり少し早いかと標高の高い半月山の駐車場まで上がってみた。

結構紅葉は良くて足尾の山もいい感じになってきているのが遠望された。

大して遅れてはいないとの印象でその週末は福島の観音沼に出かけてみた。

標高も奥日光程ではないが900m近くあり緯度も高い。もう期待できるはずだと思っていたが現地に来て見るとそれほどでもない。

遅れ具合が場所によって違うようだ。これはなにか推算手法があるはずと戻って少し調べてみる。

関東では紅葉は9月の平均気温と関係が深いと知られているようで気象庁は紅葉の盛りとなる日を推定する計算式を公表している。

9月のその場所での平均気温が1℃上がれば4.62日紅葉が遅くなるという単純な式だが、試しに値を入れていくつか計算してみるといい値を推定しており結構よい推算式のようだ。

平均気温は近くのアメダス地点のデータを標高で補正して使う。

福島でも大体は当たるだろうと福島の観音沼で計算してみると昨年より気温が1.4℃高く紅葉は1週間遅くなり見ごろは11月2日と出る。

奥日光では0.5℃高いだけで昨年より2日強の遅れの10月20日頃が半月山の見ごろとなる。

観音沼や奥日光に訪れて見た感じや昨年の写真を眺めて較べたりすると確かにそんな雰囲気だ。

東北を廻った人の話を聞いても今年は東北は1週間遅れという声が返ってくる。

単純な式でよく推定ができる、そんなものだったのかとどこか小さな驚きがある。自然は正直なのだろう。

さて今年の冬はどうなるか。

今年の夏は暑かった。特に9月が暑く北極圏の氷も何時になく大量に融けているようだ。

しかしこれは却って寒い冬をもたらすとの見方もある。融けた真水が北に流れ込む暖流を覆い結局は秋から冬の北極の気温を下げることに繋がるという判断だ。

暑い夏が寒い冬をもたらすことになるが、歴史的にも氷河期終焉の時期に融けた氷河の影響でそのような激しい気温の上下が起こっていることが知られている。

富士山の冠雪も例年になく早く、ツバメも早々に南下した様でもある。

寒い冬の到来に備えるべきようにも思えてくる。地球の脈が少しばかり荒くなってきそうだ。

素直に地球の脈動を感じれば一層自然と親しくなったような気がしてくる。それも面白い。ともかくもうすぐ冬だ。

10月17日 奥日光半月山の紅葉 

10月20日 福島・観音沼の紅葉

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