MONTHLY WEB MAGAZINE Dec. 2012
■■■■■ 欧州鉄道の旅、デュッセルドルフ・ルクセンブルグ・パリ その二 野崎順次
ルクセンブルグに二泊してから、10月26日昼過ぎにメッス経由でパリに行く。
ルクセンブルグ駅は20世紀初頭にドイツの建築家たちの設計に基づき、木造から石造に徐々に建て替えられた。メインの建物と時計塔はモーゼル・バロック様式である。中央ホールの天井画はルクセンブルグの画家、Armand Strainchamps の作品である。
ルクセンブルグからメッスへの切符は、
26日 12時55分発 列車番号86667 メッス着13時42分 セカンドクラス 指定無
駅での表示を見ると、4AB、すなわち、4番プラットフォームのA-B位置で待てばよい。
10分位早くそれらしき2階建て列車が入ってきた。待っている位置は列車の端である。入ってきたと同じ方向に進むなら最後尾車。反対に出るなら先頭車になる。直ぐに乗ろうかと迷っていたら、ドアが閉まった。が、列車は動かない。ドアの横のボタンを押せば開く。ここらは日本の田舎のJRと同じ。革ジャンのアンチャン風の男が来たので、列車を指差して「メッス?」と聞くと、あったりめーよー!と云う風に「イエース、メッス」と答えてくれた。一緒に乗り込むと、その男はためらいもなく、車掌室か運転室に入って行った。へーっ、一般人も入ってよいのか、と思ったら、何やら運転装置のチェックを始めた。何と、運転手だった。制服姿ではない。後で分かったが、車掌は制服を着ていた。
通路の反対側に上品なご婦人がおられ、咳き込んでおられたので、思わず「大丈夫ですか(Are you alright)?」と声をかけた。日本を出てからは lady first に徹していたので、すっかり「feminist」になっていたようだ。ただし、この3日後、関西空港でパスポート審査を待つ時、数人の大阪のおばちゃんに割り込まれてlady firstをやめた。
出発した列車は、最初はゆっくりだったが、2駅停まってから、牧場から工場地帯をガンガン走ってメッスに着いた。けっこう揺れるので写真が撮りにくかった。
メッス駅舎は驚くほど大層な建物であった。ドイツ人建築家クレーガーが手がけたネオロマネスク形式の代表作で、20世紀初頭建築の傑作とされているそうだ。
小腹がすいたので、ベーコン味ビスケットとサーモンサラダを立ち食いした。回りには移動中のフランス兵が沢山いた。
次の列車はフランスの誇る高速列車TGVである。切符の記載は、
メッス発 14時56分 列車 TGV 2672 17号車 33番席 パリ東駅着16時25分
中央コンコースの電光掲示板でプラットフォーム番号が出てくるのを待つのだが、TGVは大体決まっているようだ。一番近いフォームで17号車は直ぐ分かった。発車20分位前に席に着いた。最初、よく空いていたが、移動中の兵士(私服)が乗り込んできた。何やら落ち着かない様子で、上官らしい人がきょろきょろして指図している。兵士は指定席券を持たず、空いている席があれば座っていいようだ。若い兵士はトランク置場のスペースに座り込んだりしていた。結局、満席となり発車した。
しばらくは通常の列車と同じ速度だったが、町を抜けてしばらくすると、急に速度を上げてパリにまっしぐら。最初は古い在来線共用部で、途中から専用高品質軌道に変わったようだ。
パリ東駅(Gare de l'Est)に着いた。東へ向かう列車が発着するから「東駅」である。パリの東側にある駅ではない。フランス東部やドイツ、ルクセンブルク方面への列車が発着する。回りをきょろきょろしながら、身内の迎えを待った。
参考資料
Luxembourg City Tourist Office
フランス観光開発機構ウェブサイト
ウィキペディア「パリ東駅」
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