MONTHLY WEB MAGAZINE Sep. 2013
■■■■■ 東京オリンピック 川村由幸
2020年のオリンピックの東京開催が決定しました。
地球上で最大のスポーツの祭典が東京で開催されること自体はとても喜ばしいことでしょう。
その経済効果は3兆円とか、日本のGNPが520兆円ですから大騒ぎするほどのものではなく、カンフル剤にもならないでしょう。
しかも、祭りのあとには必ず負の遺産がついて回るのが常ですから、大きな経済効果が残るとも思えません。
なぜ2020年なのでしょう?
石原前都知事が言いだし、前回の選考ではリオデジャネイロに敗北、それを引き継いだ猪瀬知事の執念ですか。
公約にも掲げ、選挙で当選した知事のされることですから、十分民主的だとは思います。
2020年、日本が果たすべきはオリンピックの開催なのでしょうか。
2020年、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の各県はどうなっているのでしょう?
いまも汚染水問題に揺れ、必ずしも順調でない復興はどうなって行くのでしょう?
汚染水問題はオリンピックの開催地決定にも影を落としました。
でも、「福島とは250kmも離れていて、東京は安全」という答弁を聞いたいま福島に住む人はどう思うのでしょう。
東京での開催を望むばかりで被災者に寄り添う気持ちなど微塵も感じられません。
被災地で暮らす被災者の方々にとってオリンピックとはなんなんでしょう?
確かに、オリンピックで活躍する日本人選手の姿は被災者を励まし、勇気付けるでしょう。
でもそれは開催地が東京でなくても果たせることではないでしょうか。
東京でのオリンピック建設需要が被災地復興を遅らせたり、コストアップにつながる懸念はないでしょうか。
いま日本の果たすべきは、一日でも早い東日本大震災からの復興です。
オリンピックが被災地以外の国民から被災地や被災者に寄り添う心を奪うことはないでしょうか。
被災地や被災者を忘れさせないでしょうか。
「2020年の東京オリンピック開催までに東日本大震災から完全復興を実現する。」なんて
公約を掲げるリーダーが出て来ることを夢見ています。
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