MONTHLY WEB MAGAZINE Sep. 2013
各地で行われている遺跡調査で、新発見があると現場説明会が行われます。8月9日、滋賀県高島市安曇川町で「双環柄頭短剣の鋳型発見」の記事が全国紙に出ました。日本経済新聞が関連記事を二日続けて掲載しました。珍しいことです。
8月11日に説明会がありました。連日、朝から30℃を越える暑さ。「日本初・・・」の文字に誘われて参加しました。覚悟の上でしたが暑かった。
現場には約1時間前に着きましたが、すでに多くの方々が待機されていたのにはビックリしました。参加者は遠近マチマチで700名に達したようです。
内容は、新聞記事にある通りで、日本は勿論、朝鮮でも出土例のない短剣の鋳型です。これが安曇川に持ち込まれたルートや、背景、用途、など疑問点ばかりが残る遺物でした。
安曇川は、古くから開けた地域で、金銅製の冠や耳環,鞍・鎧・馬具などの副葬品が見つかった稲荷山古墳や、継体天皇関連で話題が多く、有力首長の存在が想定されますが、決め手につながりません。今後も点の発見が線になって、史実の解明につながるよう期待したいです。
足元の路面30cm〜50cm下に歴史の証明が潜んでいると思うと単純にゾクゾクします。目を輝かして説明している学芸員の方々が羨ましくなります。
会場や道中の往復の間に知り合った人から聞く話も楽しみです。歴史に造詣の深い博識な方が多く、例えば、文化財に強いのは毎日新聞社、大学を含めた研究所の得意分野、素人の域を越えた郷土史家、研究機関の学者・先生の系統、など次々と続く話に切れ間がありません。語る人も聞く人も何者か互いに分からない中で話が続きます。
人様に押付けのできない「趣味?」の持ち主ばかりが集まった会場は、その輪の中に居るだけで、語らずとも心が癒される気がしました。
県内の学芸員は土曜日を返上して、主に歴史講座や探訪案内を月一回の割りで開催されています。勿論、サービスです。専門的な解説も多く、ただ聞くだけでも有難いと思って参加に精を出しています。≪明日も何が新たな発見があるかも・・・・≫そのような期待が出来る「地」に住んでいることも喜びの一つ≫です。
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