MONTHLY WEB MAGAZINE Nov. 2013

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■■■■■ 木喰仏を見てきました 川村由幸

新潟、小千谷市の小栗山観音堂で35体の木喰仏を見てきました。

ご本尊の如意輪観音を中心に33体の観音様に行基菩薩、大国天を加えた35体です。

すべての仏様が静かに微笑んでいます。その微笑みを目にすると自然にひざを折り、合掌していました。

この観音堂がある小千谷市は平成16年に発生した中越地震で大きな被害を受けています。

その復興は長く厳しいものであったでしょう。そしてこれら木喰仏の微笑みが被災者の方々を励まし続けたことも間違いないでしょう。

そう思わせるほどに仏様たちの微笑みはやさしく、慈愛に満ちたものでした。

木喰上人(1718年−1810年)は江戸時代後期に甲斐の国に生まれ、特定の宗派に属さない遊行僧で

全国を旅して、自作の仏様を奉納しました。

ただ、木喰仏がこのような微笑みを湛えるのは、本人が80才を超えてからのことのようです。

ここ、小栗山の仏様も1803年に木喰上人を招き、一か月で35体を彫り上げたと伝えられています。

木喰と良く比較されるのが円空です。円空も木喰の1世紀ほど前に木喰同様、全国を行脚し、仏様を奉納しました。

残念ながら、私は未だ円空仏とあいまみえる機会を得ていませんが、細部を省略した荒々しい作風と

木喰のやさしい微笑みを湛えた仏様は制作の目的は同様でも造形では対角にあるように感じます。

 

小栗山観音堂は、毎月17日に御開帳され拝観できます。それ以外はここを管理されている地区の町会長さんに

連絡すると拝観することができます。

新潟県には、ここ以外にも多くの木喰仏が残されています。

木喰が残した620体前後の仏様の内、260体が新潟県に存在します。

仏様の前に立つと自然とやさしい気持となる木喰仏にまた会いに行きたいと思います。

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