Monthly Web Magazine Feb. 2014
今回はカジュアルな紀行記事です。
1月の索引にある静岡愛知の旅は、文学(高山樗牛)、歴史(桶狭間)、和服(絞り染め)などのマニアには興味深い内容です。
一方、1月末の伊豆の旅は、いつものストイックな撮影を忘れて、なるべく一般観光客と同じに、とにかく「のんびり」と。
通常の優先順位とは逆に、1.温泉 2.おいしい食事 3.美しい花と風景
です。そして、今回は4.文化財収録 はお休み、のはずだったのですが、、、
まずは土曜日、東名で三島に降り立ちますが、Japan Geographicの流儀が骨の髄まで染み込んでいるので、文化財などがあると立ち寄りたくなります。
今回の趣旨と全然違うのだけれど、せっかくの通り道だから、と言い訳して。
昨今話題の地震関連でマニアックな寄り道を企てます。国天然記念物の丹那断層は雪の恐れがあるので今回はパス。
最初の立ち寄り地は伊豆長岡、江間の地震動の擦痕です。
ここは北条義時(江間小四郎)の屋敷跡でもあり、いきなり魚雷の擦り傷とは、地理の学習といえどもかなりマニアックです。
続いて駿河湾に出ます。三津の淡島付近で偶然大漁旗を飾った船が通り過ぎます。
地元の人によると、新造船のお披露目だそうで、港に着いたら華々しく餅撒きが始まりました。
この付近ではここしばらく新造船が無く、今後もないだろうとのことで、珍しいものを見せていただきました。
まあ、これは今回の趣旨に合っているかな。
その後は定番の大瀬崎、井田、戸田、田子と西伊豆を南下していきます。
田子は2010年の1月に「月の入り」を撮影した場所です。
その時は漁師さんに勧められ、身が凍る寒さの深夜から朝にかけて月が駿河湾に沈む光景を撮影しましたが、幻想的で素晴らしい情景でした。
朝まで浜辺に立ち尽くす姿はかなり怪しかったかな。
今回はどんよりとした天気だったので、道草せずどんどん進みます。
堂ケ島は大荒れの波で観光どころではありません。以前のような美しい夕景も期待できず、今回はパスです。
松崎に入ると海鼠壁の建物に癒されます。
今回は旧伊豆文の建物を見学させていただきました。百年以上経った建物ですがしっかりしています。
地元のおばちゃんが丁寧に花を活けていらっしゃいました。
昔話を伺っていると、というか、私があれこれ質問するものだから、話が弾んでお互い時間を忘れます。
結局ここでタイムアップとなり、その後の西伊豆海岸ルートは取りやめて、婆娑羅峠を越えて下田の宿に直行します。
宿は、かつて御番所で賑わっていた大浦に建っています。
立地は申し分なく、既に暗くなっていますから、それなりに立派?に見えます。
温泉有り、食べ放題、飲み放題で一人6800円。財布にやさしい宿です。
翌日の日曜日は下田の探索です。いつもの癖で、周囲の文化財をチェックしている自分がいます。
ペリーロード沿いの街並を観光客モードで一通り楽しみ、国史跡の了仙寺へ。
それから日露和親条約が締結された長楽寺を経て下田の街中を探訪します。
江戸末期の津波で壊滅的な被害を受けた下田は跡形もなく復興していますが、次回の津波が気になります。
もう一つ気になるのは国登録文化財の旧南豆製氷所です。
取り壊されそうになっていたものを地元の有志が買い取り、登録文化財になったまでは良かったのですが、耐震工事の資金が捻出できず、今度こそ解体の瀬戸際です。
その内部はもう二度と見れないのではないかと、開いていた入口から撮影させてもらいました。
下田でも観光客モードを逸脱してしまいました。
その後、爪木崎で本物の観光のはずが、習い性で、文化財に指定された柱状節理や御子元島灯台の撮影に没頭します。
エメラルド色の海とスイセンやアロエの花は、それはそれで良いのですが、記念写真を撮るムードにはなれませんでした。
結局、1.温泉=Yes、2.おいしい食事=??、3.美しい花=Yesでしたが、今回も4.の文化財(教材)を収集することが主体の旅で終わりました。
肝心な教科書作りや教育映画作りは時間の余裕が無くてまだ手つかずです。
手伝ってくださる方は大歓迎です。百万点の素材が見放題ですよ。
ん? 見たくない? そうですか。
以前の自分もそうでしたが、文化財訪問は百か所目あたりが"Point of no return"で、以後は楽しさがどんどん加速して、脳みそが中毒になり、はまります。
そのメカニズムはこちら。
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