Monthly Web Magazine May 2014
この時期、三年連続で福島県に観桜に出かけています。
福島では毎年こんな番付が発表されます。
赤枠が今年訪れた桜、青枠は過去に訪問しJ.Gに投稿済の桜、今年訪問した桜でも
滝桜と合戦場のしだれ桜はすでに投稿の実績があります。すなわち、複数回訪問しています。
黒枠は過去に訪問済で、J.Gに投稿していない桜です。
今年は番付上位ではなく関脇以下の桜にねらいを定めての観桜です。
三春を取り囲むような田村市を中心とした地域で、たくさんの見事な大桜が存在しています。
最初は大聖寺の紅しだれ桜です。船引三春I.Cを降り、カーナビの指示通りに合戦場のしだれ桜目指して車を走らせていたら、左手の高台に赤い屋根の寺と桜の大木が目に入りました。
車を止めて確認すると後で訪ねる予定の大聖寺の紅しだれ桜でした。番付では前頭四枚目の桜です。
紅しだれと言われるだけ花の色も濃く、高台に立つ桜を下からみあげると青空に映えさらに美しさが際立ちます。
樹齢250年の太い幹の傍らの仏に手を合わせて、次の桜に向かいました。
近くに仲森のべにしだれがあるはずと気をつけて運転しているとこれも通り道沿いの高台の民家の庭に姿良く花を咲かせていました。
関脇だけあって、堂々と立ち、傘のかたちに咲いた花の下で人々を守ってくれているようです。
個人のお宅にある桜で、持ち主の方とお話ができ、この桜を大切にされていることが伝わってきました。
この桜も樹齢250年、持ち主の方のご先祖が幾代も大切に育ててこられた賜物を、今楽しんでいると実感できました。
訪問予定であった桜を偶然みつけ、幸先良い福島観桜がスタート、ここからは二本松の合戦場のしだれ桜にまっすぐ向かいます。
昨年も訪れた合戦場のしだれ桜、その姿の良さ故に人を集めるのでしょう。この桜、画像のように二本の桜なのです。
その各々はさほど巨木なわけではありません。造形の妙というしかない美しさなのです。
美しい姿が番付で大関の価値があるとの評価をされたのでしょう。
一段下がったところから、菜の花越しにこの桜が見える場所はカメラマンであふれています。
満足のゆく撮影ができたでしょうか。
ここからすぐ近くに福田寺のしだれ桜があります。この桜は前頭七枚目です。樹齢300年背の高いしだれ桜です。
昨年訪れたときは3〜5部咲きでしたが、今回はほぼ満開、樹木自体が大きくみえます。
こんな桜の下でおべんとうでもと、ふと考えてしまいました。桜の花に癒され、のどかな気持ちになったのでしょう。
のんびりとはして居られません。まだまだ訪れる予定の桜がたくさん残っています。
ここから三春町に向かう途中に蛇塚しだれ桜があります。この桜も個人所有の桜で側がすぐ畑で撮影に気遣いが必要です。前頭二十九枚目と番付の最後に近い桜ですが、それでも見ごたえ充分です。
ただ、この桜はいささかわかりにくいところにあり、たどり着くのが大変でした。
次は三春町に向かいます。滝桜ばかりが人気の三春ですが、滝桜以外にも桜の巨木が多数存在しています。
その内の二本の大桜を今回は訪ねました。
まず芹ヶ沢桜、磐越自動車道からも見ることができる位置にこの桜はあります。ただ、近くには駐車場もなく道路の端に駐車して桜を見ることとなります。車の往来は多くありませんが迷惑駐車とならない配慮は必要です。
ただ、小高い丘の上のこの桜の存在感は圧倒的です。
滝桜がもしなれけば、三春の名桜となっていたに違いありません。樹齢350年、木の勢いも十分に感じられ姿も美しいしだれ桜です。番付では関脇となっていますが、不動桜や地蔵桜に負けているとも思えません。
こんな桜がいつまでも残って行くことを望んでいます。
次は芹ヶ沢桜から遠くない八十内公園の中にある八十内かもん桜です。
樹齢は同じく350年、番付も同じ関脇です。
滝桜のライトアップ期間、この桜もライトアップされます。八十内公園はこの桜のための公園のようです。
枝の張り方が独特で子供が暴れているような感じを受けるのは私だけでしょうか。
ここで昼食、三春に白河のとら食堂系の「はし軒」というラーメン屋さんがあり、ここでいただきました。おいしかったです。
午後三時過ぎにこの店の前をもう一度通りましたが、麺完売で本日閉店でした。
さあ、国道349号を小野町の方面に下りましょう。田村市にはまだまだ見るべき桜があります。
今回の観桜行で唯一のソメイヨシノです。小沢の桜。なんでも映画の舞台となったようでそれなりに有名な桜のようです。
私自身は映画のことは知らずに訪問しました。ソメイヨシノで樹齢100年、稀有な桜です。
でも、樹勢の衰えを感じます。幹の太さに対して、枝張りが少ないようです。瀧山さんが以前に取材されている時と比べてもいくつかの枝を失っているように見えます。樹勢回復の手立てが必要だと思います。決定的になる前に。
さらに下って、永泉寺の桜、樹齢400年関脇です。
満開前の五分咲きでしょうか、枝張りも多く勢いのある桜です。いつも感じるのですが、寺に桜は良く似合います。
京都がそうであるように、日本人の遺伝子に入り込んだ感性なのでしょうか。仏様と結びつくことで桜も大切にされます。
ここで田村市とは別れ、小野町に入ってすぐ国道の脇にその桜はあります。吉野辺の種まき桜です。
しだれ桜でないため番付には載っていません。樹齢の400年間、道端で人々の営みをずっと見てきたという風格を感じる桜です。名の通り、この桜が咲けば種を蒔いてきた人々の暮らしに寄り添って生きてきた桜です。
こうして、桜の巨木を追いかけ、みごとな花をつけた木々に出会う度に、自分も豊かでゆっくりした気分に浸れます。
毎年繰り返される生き物の生きるための営みが人を癒し、生きることへの息吹を与えてくれた気がします。
さらに下って夏井千本桜にも行きましたが、3〜5部先でいささか早すぎでした。
本当はライトアップされた滝桜を見るつもりで計画していましたが、待ち時間があり過ぎましたので、このまま滝桜へと引き返しました。
雲が出てきて、散り際の花の色をさらにくすんだものにしています。平日だというのに、ここは人であふれていました。
今、福島に人が集まることを素直に喜びたいと思います。
今年も滝桜はみごとな花を咲かせました。来年も再来年も見事な花を咲かせ、たくさんの人を集める滝桜でいてください。
そして、私は来年も福島への観桜行実行しているでしょう。まだ見ぬ、大桜を探して。