Monthly Web Magazine July 2014

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■■■■■ あおりレンズ 川村由幸

野崎さんからTS−E24を譲っていただいたのは2011年の秋だったと記憶しています。

すでに三年が過ぎようとしていますが、残念ながらうまく使いこなしているかと聞かれると全くと答えるしかない状況です。

最大の問題はAFに慣れきっていること。TSレンズはその複雑な機構からMFなのです。

特に3m〜∞の合焦リングの可動域が狭く自分の目に自信が持てないでいます。

但し、レンズの威力は絶大です。建造物の縦方向の歪みを解消してくれます。

その効果を実感するためにEF24−105 F4L IS USMとほぼ同じ構図の撮影をして比較してみました。

撮影の対象は自宅近くの重要文化財 旧吉田家住宅です。

画像は左がEF24−105、右がTS−E24です。

まず、ともにレンズが水平にセットできる遠景ではその差がありません。

建物に近づいて、EFレンズが水平より上を向くと

門柱がEFのほうが上に向かってすぼんでいるのが解ります。これに対してTSの方はすぼみがなく平行です。

遠景となり、EFレンズが水平に近づくとTSとの差が小さくなります。

この画像では、EFの屋根がほんの少しすぼんでいる程度でそれほど変形が気になるわけではありません。

縦のラインが強調される画像は歪みも明確に認識され、TSレンズの威力をだれでもが理解できます。

EFでは屋根瓦が上に反っているようにさえ見えます。

母屋の画像に大きな違いは見つけられませんが、画像の左端の塀の傾きがEFはひどい結果となっています。

片方が持ち上げられたような不自然な形に撮影されています。

やはり、上に向かってすぼむと建物が不安定に見えてしまいます。TSで撮影したほうがどっしりとした安定感を感じます。

画像左上に覗いている建物の倒れに大きな差があります。その分中央の建物にも歪みがあるのでしょうが

それほど感じられません。

縦のラインが強調された画像ですから、その差が明確です。TSの画像は本当に人間の見たままです。

レンズによる歪みが画像を壊しているのですね。

いかがでしょうか。私自身もTSレンズの能力を再認識しました。1000年先に資料を残すなら歪みの少ない美しい画像を多く残したいと思います。

ピント合わせに時間がかかっても建造物撮影の時はできるだけTSレンズを使用したいと思います。

宝の持ち腐れにならないようにしたいと考えています。

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