Monthly Web Magazine September 2014
年をとってやることが無くなったらやろうと思うことを今から幾つか考えている。
魚釣りを始めるというのがまずは面白そうだ。
福岡市の西には海釣り公園という海に桟橋が延びた市営の釣り公園があって指導員がいつも待機し釣り道具の貸与はもちろん釣り方を親切に教えてくれるという。
やることが無くなったらまずはこれだと思っているが一向にやることが無くならないのでまだ先のことになりそうだ。
それにこれは行くのにクルマでないと辛そうだ、クルマに乗れなくなっては難しい、そんな時を考えて思っているのがただただ雲を眺めるという遊びだ。
これは頭上が開けていれば良い、近くの公園でも十分だ。
どういう風に楽しめばいいか、今からその時に備えて時々雲を眺めている。
雲の楽しみ方を気ままに書いた本があって7-8年前イギリスでベストセラーになったその本を参考にしてみている。
”「雲」の楽しみ方”、ギャヴィン・プレイター=ピニーという人の本だがなかなか面白い
まずは基本の10種の雲を見分けるようになっておいたほうが良いとある、これはできる。
低層雲、中層雲、高層雲 と分かれ低層雲には積雲、層積雲、層雲、積乱雲があり中層雲には高積雲、高層雲、乱層雲がある、高層雲には巻雲、巻層雲、巻積雲とありこれで10種だ。
今のところ見ていて巻雲、巻積雲といった高層雲がいい。
高層雲は全てが氷の結晶で構成されていてその線の細さが細密な自然の技を見る思いがする。
巻雲の氷晶が風に流れて細やかな線になるところは何とも言えず眺め入ってしまう。
秋が来たかもしれないと感じるのは空に見事な巻積雲を見た時だ。
巻積雲は細かいうろこのようでいわしぐも、さばぐも、うろこぐも と呼称されており勿論秋の季語になっている。
上空の気温が下がってくることとこの秋の雲とは関係があるようで4000mあたりの気温が零度位になり始めると綺麗な巻積雲が見え始めるようだ。
勿論低層の温湿な夏の空気がもたらすもやっとした不透明感が無くなってくれるというのが前提のようだが。
南国の夜明けの情景では低層の伸び上がる積雲のシルエットがいかにも南国らしい。
明け方からもう空気の対流が盛んだと語っているようだ。
島の上に地形をなぞるように連なる積雲も力強くていい眺めだ。
眺めていると雲単体というよりやはり風景の中の雲がいい。
町の公園からひがら雲を眺めこれを愛でるという境地は余程この世のものを捨て去らないと到達できないような気がしている。
当分は忙しく動き回りたいという心地からから逃れられないようで雲に浸る前にまだやることが幾らもあるように思える。
どうやら雲以外の別の何かも考えておく必要もありそうだ。また考える。先は長い。
写真は順に 1.巻雲(9月旭岳にて)、2.巻雲(9月月山にて)、3.巻積雲(9月福岡にて)、4.レンズ雲(7月利尻島)、5.海に並ぶ積雲(7月小浜島にて)、6,7.夜明けの積雲、積乱雲(7月西表島にて)、8.島の地形に沿って並ぶ積雲(7月石垣島にて)