Monthly Web Magazine October 2014

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■■■■■ 秋は鷹見に限る 田中康平

野鳥をそれと思って見る事を始めて10年くらいになるがいまだにフィールドでの野鳥の判定は難しい。初心者のようなものだ。

秋の野鳥といえば鷹の渡りを見るのが一番面白いように思っている。

渡りをする鷹の代表はハチクマとサシバだがこれくらいは人に説明できるようになった。

ハチクマとは蜂を食べるクマタカの様な鷹の意だ。

クマタカといっても野鳥に興味のない人には何だそれということになるが、ユーラシアから日本に分布して渡りはせず日本では深い山に生息する滅多に見られない鷹になっていて確かに九州に来ては見たことがない。

関東に居たときに何回か見たが翼の後縁がうちわの先のようにゆったりとカーブしている特徴がある。

ハチクマはこのクマタカよりやや小ぶりだが似たカーブの翼をしている他、好物のスズメバチの巣を襲う習性がありそれに好適なように首から頭が細っそりしている、そんな姿に特徴があって識別できる。サシバは里山の鷹でハチクマより小さく山地と田んぼが交じるようなところに住み着きカエルやネズミ等をとって生活している。

この鷹は翼の後縁が真っすぐになるように見える特徴があってこれはなんとなくわかる。

福岡へ来てみるとここではタカの渡りというとハチクマの渡りを殆ど意味するくらいハチクマが主流だ。

これには訳があってサシバの渡りルートは四国から宮崎・鹿児島へと渡っていき島つたいに南に下る。

ハチクマは広島山口から北九州を通って五島へ抜けて一気に上海へと海を渡る。

多分ハチクマはサシバより大きいため飛翔力があって700kmもの洋上を一気に飛翔できるのだろう。

さらに大陸の山地を経由すれば蜂にもありつきやすいのだろう。

ハチクマの春の渡りは朝鮮半島経由で日本に入る、五島ー上海のルートは東風が多く向かい風では飛び切ることがむずかしいようだ。

こんなルートが明らかになったのは人工衛星経由でデータを送れる発信機が幾羽かの鷹につけられたことによる。

今年も何回か鷹の渡り見物に出かけた。大概はハチクマの渡りだ。

自然を相手だから大きな渡りに出くわす日ばかりとは限らない、鷹が渡ってくれなくとも気持ちのいい秋の日に山の上でひたすら浸るのは秋の日の過ごし方としてなかなかいい。

写真は1.鷹見風景、佐世保烏帽子岳にて 2.アサギマダラ、烏帽子岳にて 3.九十九島の眺め、烏帽子岳にて 4.−7.渡りをするハチクマ、福岡・油山片江展望台にて 8.門司・風師山の眺め 9.ハチクマ、風師山にて

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