Monthly Web Magazine Jan. 2015
■■■■■ 近所に初詣 田中康平
年末に訪れていた孫達も去って嵐が過ぎたような静かな正月になるかと思えば元旦は自然界の嵐だ。
天気がやや落ち着いた午後から近くの穴観音に初詣に出かけた。
穴観音は6世紀の巨石古墳を祀る形の宗教遺跡ということになるのだろうか。
福岡城築城の際はあたりの古墳からは皆石が取られたが何故かここだけは免れている。
福岡城までの抜け道になっているとも言い伝えられて謎が多い。
2日の日は白村江の戦いの数年前に斉明天皇・中大兄皇子がこの地にあった際の行宮(磐瀬行宮)の神社といわれている高宮八幡宮に詣でる。古いことは確からしい。
3日はこれも近くの御子神社に詣でて3社参りが完成する。
3社参りは北部九州中心の慣わしとされておりだれかが商売のために仕掛けた風習かもしれないが正月の運動不足解消には丁度いい。
ここは壇ノ浦で沈んだはずの安徳天皇が実は逃げ延びて大宰府に暫くいた。その後糸島吉井に移ることになって移動途中のこの地で注連縄に引っかかって落馬した。その”御子”を祀る神社という言い伝えになっている。この話は江戸時代に青柳種信のまとめた「筑前国続風土記拾遺」にも記載されているというから少なくとも江戸時代にはこんな説が流布していたらしい。
随分ないわれのあるお宮ばかりが近所にある。どうにもこの地は物語を込め易いのではなかろうかと思ってしまう。古くから事件に充ちていたのだろうか。そう思うと面白い。
こうして今年も始まった。どんな年になるだろうか。事件に充ちた年になるだろうか。
(写真は順に 穴観音、高宮八幡宮、御子神社)