Monthly Web Magazine Mar. 2015
■■■■■ 梅とともに春がそこに 田中康平
梅が咲いて春の花の季節が今年も始まったかと思う。
北関東にいたときは梅といえば偕楽園や足利の西渓園だった。
九州ではどこだろうかと思うと、まずは太宰府の梅から始まってやはりいいところが幾つもあるようだが、なにしろシーズンの開始が早い。
気象台の生物観測では福岡の梅開花は平年で2月3日、今年は1月28日だが宇都宮では平年が2月14日、今年が2月26日で今年に限れば福岡は北関東より1ヶ月くらいも早い。
ぼんやりしていると出遅れてしまう。
勿論場所により木により開花時期は様々で、今年は1月21日に自宅から数キロの春日公園で今季初めての梅開花を見た。これは早い。
続いて自宅の梅が開花しこれは3月10日の強風で散り去るまで花が続いた。
梅は期間が長い。散り方も梅吹雪というのはなくて地面がゆっくり花びらで覆われていく。優雅だ。
梅のように生きる、そんなことを思ってしまう。
数日前、有明海の広大な干潟・大授搦(だいじゅがらみ)で季節の野鳥を堪能した後、小城の牛尾梅園というところに寄ってみた。勿論初めてだ。
江戸時代から続く梅果実栽培用の梅林らしいが、1万本を越える梅がほぼ満開で圧倒的だ。
小山を登りながらそぞろに見ていく。波打つような梅の花、こんなのが見ていて気持ちがいい。
実用的にドライに一面に広がる梅の花の様は、見てくれとばかり押し付けるようなところがないのがいい。
桜はもう2週間もすれば咲き始めるだろう。巡り来る心が浮き立つような季節はいつも新鮮な何かをもたらしてくれるように思えている。
写真は順に、1.春日公園の梅開花(1月21日), 2.自宅梅開花(2月4日), 3.太宰府飛梅(2月15日), 4.福岡城址の梅(2月25日), 5/6.牛尾梅園の梅(3月7日)