Monthly Web Magazine Aug. 2015

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■■■■■ 熱波の記憶 大野木康夫

今年の夏は高温が続き、初老の身にもこたえるような状況となっています。

この状況の中で、今まで経験した中で一番暑いと感じた日の記憶がよみがえりました。

平成9(1997)年の8月末、台湾の台南で経験した暑さです。

その頃、職場の大先輩と一緒に、たびたび台湾旅行に行っていました。

大抵の名所はほぼ行き尽くしたので、その夏の旅程は、すごく変わったものになりました。

関空→桃園空港→花蓮(泊)→バスで梨山経由→台中(泊)→日月潭(泊)

→水里→台南(泊)→天池→台東(泊)→台北(連泊)→帰国

といったもので、台湾の高山地帯を横切る中部横貫公路(花蓮〜台中)と南部横貫公路(台南〜台東)のバス旅がメインでした。

残っている紙焼き写真(APSカメラで撮影したものであまり質がいいとは言えません)でこの旅程を振り返りたいと思います。

8月23日

台湾の玄関口桃園空港で復興航空の小型機に乗り換えて空路花蓮へ

花蓮といえばタロコ(太魯閣)ですが、すでに訪問しており、市内でのんびりしました。

8月24日

今では運行されていない直通バスに乗って台湾有数の山岳道路である中部横貫公路越え。

東海岸の花蓮からタロコを抜け、大禹嶺から梨山を通って西海岸の台中まで、普通にいっても10時間超の長丁場です。

花蓮駅を8時に出発

アクシデント発生。

タロコの手前でバスが落石を車軸に引っ掛けて故障、長時間の足止めになりました。

6時間後、替えのバスがようやく到着して運行再開。

天祥から大禹嶺を越えるあたりまでは数枚の撮影をしていますが、景勝地梨山はすっかり闇の中、台中到着は深夜の0時過ぎになってしまいました。

8月25日

台中からバスで、台湾最大の湖である日月潭へ。

標高が高いので、暑さもましでした。

8月26日

日月潭からバスで水里へ行き、そこから鉄道を乗り継いで台南に行きました。

この日は快晴、台湾でも暑いといわれる台南はひどく暑く、赤嵌城の見学中に気分が悪くなり、観光を切り上げてホテルで涼んでいました。

後にも先にも、暑さで観光をあきらめたのはこの時だけです。

8月27日

台南から南部横貫公路越えで台東へ

台南駅から里芋アイスで有名な玉井を通って天池までは興南客運、天池から台東駅までは台湾客運(当時)の2本のバスを乗り継いで行きました。

最高所で標高2,775mのところを通る高山道路です。

途中、梅山口から先の乗客は私たち二人だけ、台湾客運のバスの運転手は名所で止まって写真を撮影させてくれました。

台東に着くと、大型で強い台風16号が台湾に向かっており、風が強くなってきました。

 

8月28日

台風接近に伴う強風の中、復興航空で台北松山空港に向かいました。

台北到着後は陽明山に行きましたが、強風で観光もままならず、早々にホテルに向かいました。

8月29日

台風16号の直撃により、1日中暴風雨の中で過ごしました。

8月30日

帰国前に、早朝から鉄道を乗り継いで、十分瀑布に行きました。

雨の中、線路脇を歩いていくのは楽しかったです。

台風の影響で滝は増水しておりすごい迫力でした。

本当は危険なので観覧禁止だったのですが、受付の人に徹底されておらず、私たちだけが見ることができたようです。

この頃の紙焼き写真を見ると、撮影数も少ないうえ、何を撮っているのかわからないものも混じっており、記録としては物足りないものになっています。

デジタルカメラや大容量の記録媒体、ハードディスクの出現によって、記録量が増え、大量の写真データを安価に蓄積できるようになった便利さを、暑さの記憶をたどることによって、今更ながら実感することになりました。

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