Monthly Web Magazine Aug. 2015

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■■■■■ 雑草雑感 田中康平

 暑くなった、草がよく伸びる。もう2年半になるが九州に来て思うことの一つは雑草が多いことにある。

北関東では見たことのない草花がここ福岡では湧くように庭に現れる。土壌は火山性の砂のような土地でとてもいいとは思えないが雑草はよく生えてくる。

雑草という草はないとよくいうが、こちらに来ると繁殖の獰猛なところや姿かたちから雑草としか呼べない気持ちになる草が多いように思う。

例えば、ウラジロチチコグサと呼ぶ草は抜いても抜いてもはびこってきて花も気持ちよくない。南アメリカ原産で国立環境研の侵入生物データベースに登録されていて、侵略的となりつつあるとの注記がついている。関東以南の分布となっているが宇都宮では見かけなかったように思う。庭に張り付くようにして広がっていく様はいかにも雑草だ。

そんな嫌われ者ではなく、いつともなく庭の中に現れ根づいていく雑草のような植物もある。この時期目立つのはヤブミョウガだ。これも同様に関東から九州に分布とあるが北関東で見た記憶はなく福岡では目立っている、雑草というほどに不快さを与える植物ではないが丈夫で枯れて空になった鉢がたちまち占領されてしまうところなどは雑草としての資格があるような気がしている。もともと東アジアだけの植物なので侵略的という気はしない、正統的雑草というべきかもしれない。ともかく南では蔓延る生き物が多い。

最近気になっているのがこれも空いた鉢に勝手に伸びあがってきたイヌホオズキの仲間だ。今も花が咲いて実もなっている。実のなり方から見てカンザシイヌホオズキと呼ばれている種類のテリミノイヌホオズキのようだと判る。可愛い花で雑草とも思えないのだが調べていくと雑草と扱われているようだ。実には毒が含まれているとあり食べられない草となっている、生命力が強く大豆畑に多数発生することがあるという。役に立たない雑草として駆除法がいくつか示されていて、農業生産を妨げる厄介な雑草とされている。北アメリカ原産の植物ではあるが帰化したのは古いらしく、昔から国内で蔓延っているようだ。庭に現れるとそんな迷惑な様子は感じられず、哀れにも思ってしまう。

この他ハゼラン、ユリズイセン、シラーペルビアナ,マツバウンランなど、見たこともなかった草花がいつの間にか庭に次々に現れなんとヤマノイモの花も咲き開いている。

いずれも勝手に現われてきた植物だ。十把一絡げに雑草というのも抵抗があるがほっておくと庭や鉢が次第に占領されていくので適当に抜いている、抜くのも一仕事だ。やはり雑草といいたくなる。

南に来ると生き物の活動が活発で自然と調和するより負けるものかとばかり自然に対抗していく心が少しばかり強くなるような気がしている。

地球温暖化は人以外の生き物にとって力を与え勢力を拡大させる、そんな潜在的な恐怖が温暖化対策に人の心を駆り立てているのではなかろうか、全地球の生き物に平等に発言権があれば温暖化支持が圧倒的に多いのではないか、地球を守るとは何なのだろうか、そんなことも考えてしまう。

雑草であれ結局は共に生きていくしかない、と言うべきなのかもしれないが。

写真は順にウラジロチチコグサ、ヤブミョウガ、テリミノイヌホオズキ、ハゼラン、ユリズイセン、シラーペルビアナ、マツバウンラン、ヤマノイモ

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