Monthly Web Magazine Sep. 2015

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■■■■■初めての入院 川村由幸

8月17日仕事から帰宅するとなんだか熱っぽい感じで体温を測ってみると37度を少し超えていました。

夏風邪でもひいてしまったかと思い、早めに就寝しました。

翌朝も体調の回復はなく、相変わらず37度超えの熱が続いていました。自宅にあった風邪薬を服用してその日の仕事と約束をキャンセル、仲間と暑気払いの呑み会で柏に集まることになっていたのです。

ともかく休息をとベットで一日静かにしていましたが、回復に向かう気配はありません。

そうこうしていると、夜19:00過ぎに急に熱が高くなってきたのです。39度近くの高熱で元々熱には弱い体質で37度でも結構なダメージを受けていましたので、この熱でびっくり、娘の車で近くの総合病院に駆け込みました。

問診の後、インフルフンザ検査と血液検査を実施、インフルエンザはパスしましたが血液検査で白血球の増加とCRPに異常値が見つかり、CT検査、その結果肺炎であることが判明しそのまま入院することになってしまいました。病名は細菌感染症による肺炎。

病室に直行して直ちに抗生剤の点滴を開始したのでした。

治療は午前中と夕方の二回、抗生剤の点滴のみ、あとはじっと病室のベットに横たわっているのみ。

なぜか夕方になると熱が上がり、翌朝まで氷枕という繰り返しでした。

病室は四人部屋、病という不幸に見舞われた人たちの集まりですから、病室は人生の悲しい出来事ばかり。

それが音だけで伝わってきます。

入院して三日目、同室のご老人が退院するようです。

手術をしてまだ傷口が完治しておらず在宅のケアーが必要というレベルで今は退院するのです。

医療費削減のための厚労省の方針で入院日数は最低限の指導が徹底しています。

ところがそのご老人を迎えにご家族が病院に来られないのです。

退院するご老人は食事も朝のみで昼は依頼していないのに、昼を過ぎても誰も見えないのです。

病院側もご家族への連絡に手を尽くしているようですが、うまく行ってない様子です。

カーテン越しにそのご老人の気持ちが伝わってくるようです。退院するには費用の支払いも必要です。

退院日は急に決まったわけでもありません。こんなことで自宅でのケアーは可能なのでしょうか。

午後3時前、やっとご子息が病室に見えました。そのときにそのご老人の発した声、安堵の声が今も耳を離れません。

私の病状は好転していないようで、8月24日夕方に担当医師に呼ばれ、肺炎の範囲が小さくならず逆に拡大しているとの説明、細菌感染症の合併症である器質化肺炎を起こしているとのこと。

これは喫煙と関係の深い合併症で喫煙による肺の抵抗力低下が原因で、白血球の数は正常値に近いにもかかわらず、CRPは20(通常は0.1以下)を超える状態のため、気管支鏡検査、気管支洗浄を実施することになりました。二種類の肺炎を同時に発症してしまったのです。

15年以上も前に禁煙しているのにその前の喫煙に仇をとられました。

この気管支鏡検査、病院で実施する検査の中で最も辛く厳しい検査と言われています。

その通りで、検査室への行はもちろん歩いて行きましたが、帰りは車椅子でした。

自力で歩くパワーが残っていないのです。体力・気力を根こそぎ奪われるような検査でした。

この検査の後、抗生剤を変更、ステロイド剤の点滴投与が始まり、様態はグンと良くなりました。

退院したご老人の後に、人間ドックの肺の検査で疑念が生じ、気管支鏡検査のために入院された方がいます。

気管支鏡検査は検査だけでも一泊二日の入院となるのです。

もちろん疑念は肺がんです。ご本人はもちろんそのことをご承知で検査を受けに来ておられるようです。

そんなことが自然と耳から入ってきてしまいます。

肺がんと向き合うということはほとんど死と向き合うことです。検査結果の出るまでの一週間、地獄のような時間を過ごさねばなりません。それでも結果が良ければ救われますが、悪い場合はそれからが本当の闘いの始まりとなるのです。

病院では人生の悲しいことばかり。

抗生剤とステロイドの点滴は8月27日まで続き、8月27日のレントゲンと血液検査で肺炎の範囲も小さくなりCRPも大幅に低下、点滴による薬剤の投与は終了しました。

これですぐ退院とはならないのです。ステロイド剤は魔法の薬らしいのですが、その服用を突然やめると免疫力が低下し、感染症に罹り易い状態になるのです。

副作用も大きい薬らしく、量を序々に減らし様態を確認後の退院、点滴をやめて4日後、8月31日にやっと帰宅しました。

結局、14日間の入院、手術をしたわけでもなくただベットに横になって点滴を受けていただけの二週間。

でも特別な二週間でした。病室は人生の悲しいことばかり、最後に同室になったのは21歳で重度の糖尿病の青年。

これから一生、血糖値測定とインシュリン注射を自分でしてゆかなければならないのです。

生きることの厳しさ、過酷さを思い知るばかりでした。

そして、私の家族は私の入院の間、ずっと心配していました。一時いささかシリアスな時期もあり、余計に心配をかけてしまいました。

今回の感染による細菌肺炎は疲れて、免疫力が低下していると誰でも罹る可能性のあるものだそうで罹ったことに特別な原因・理由はないようです。健康はお金では買えません。

皆様、ご自愛いただきたくよろしくお願い致します。

 

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