Monthly Web Magazine Dec. 2015

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■■■■■ ルイ・カレ邸 野崎順次

パリ在住の知人(日本人)がルイ・カレ邸の写真を送ってくれた。アルヴァ・アアルトがルイ・カレのために設計した住宅でフランスにある唯一のアアルト建築である。

アルヴァ・アアルト(1898 - 1976)はフィンランド人、20世紀を代表する世界的な建築家・都市計画家で、家具、食器など日用品のデザインも手掛けた。その肖像画はフィンランド紙幣や切手にも使われたほどである。ルイ・カレ(1897‐1977)はフランス人で、弁護士、ギャラリスト、現代美術コレクターであった。1955年、それまで一面識もなかったがカレの設計依頼の手紙がアアルトに届き、翌年打ち合わせのために会って意気投合し、1956年に着工、1959年に竣工した。

ルイ・カレ邸は近年やっと公開され、フランスを訪れる建築愛好家にとって、ル・コルビュジェのサボイ邸に並ぶ見学スポットであるらしい。パリの西約50㎞で、住所と住宅平面図は次のとおり。

Maison Louis Carré, 2 chemin du Saint-Sacrement, 78490 Bazoches-sur-Guyonne

 

(多摩美術大学環境デザイン学科平山研究室ウェブサイト、北欧建築ゼミ アアルトより)

Google Mapで見てみると、上記の平面図は上が南である。すなわち、アプローチは北側で、サウナ付き寝室は南に面している。

 

ゆったりとした広い敷地の中に優雅に横たわり、背景にとけ込んだような、片流れ屋根の住宅である。ルイ・カレ氏はル・コルビュジェと同じ建物に住んでいたが、コンクリート建築を好まないので、アアルトに設計を依頼したそうだ。建物だけでなく、家具調度、照明器具、建築金物などすべてがアアルトのデザインによる。

 

玄関からダイニング。ダイニングの広い壁にもコレクションの絵がかけられていたので、照明が壁にもあたるようになっている。

 

リビングへ

 

ルイ・カレの書斎

 

その外

 

外部のプールと外灯

 

アアルトの本国、フィンランドのヘルシンキには彼が設計したカフェ・アアルトがあり、日本映画「かもめ食堂」のロケに使われたそうだ。身内がDVDを持っていたので見ることができた。映画の中では背景として実に何気なかったが、テーブル、いす、ペンダントライトなどすべてがアアルトのデザインである。その何気なさがアアルトの上品さであろう。

参考資料

多摩美術大学環境デザイン学科平山研究室ウェブサイト、北欧建築ゼミ アアルト

ウィキペディア「アルヴァ・ア−ルト」

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