Monthly Web Magazine Jan. 2016
■■■■■ドラゴンフルーツと干魚 野崎順次
ドラゴンフルーツが容易に手に入るようになったので、孫のために買ったりするようになった。
名前といい、形状といい、非常にトロピカルな感じで濃密な甘みを期待したが、甘みは僅かでさっぱりしている。
フルーツというよりも野菜という感じである。しかし、それが良い。
何でもかんでも甘すぎる今日、さっぱりフルーツは貴重である。
サボテンの実である。すなわち、サボテン科ヒモサボテン属の三角サボテンなどの果実のことをドラゴンフルーツあるいはピタヤと呼ぶ。
果肉はゼリー状で、最も広く流通しているのは白肉種である。
現地で充分に熟すと甘いのであるが、未熟果の段階で収穫されると、ほとんど追熟して糖度を増さない。
原産地はメキシコまたは中南米の熱帯雨林地帯である。
サボテンは乾燥地帯に生えているが、その中で高温多湿の条件に順応したのがヒモサボテン属であるが、他のサボテンと同じく、CAM光合成植物である。
…………というストレートな話はここまで。
昨年の暮れにドラゴンフルーツを買った。
冷やしてから縦に4つに切った。
果肉は白いゼリー状でゴマ状の粒がある。
そのままかぶりついて皮沿いにえぐるように食べた。
温度高めの暖房の部屋で透き通るような薄甘味である。
食べ終わって、ドラゴンフルーツの皮を見たら魚になっていた。
偶然に黒い粒が眼になっていた。
その後、約1週間、雨の当たらない外に置いておいたら、4匹の干魚になっていた。
熱帯魚の干魚である。