Monthly Web Magazine Apr. 2016

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■■■■■ 福岡の連続殺人事件  野崎順次

1996年頃、福岡の取引先の社長(仮にKさんとする)が三角屋根の素敵な豪邸を破格の安値で手に入れた。その頃、たまたま通っていた中洲のスナックのママが所有者だった。彼女の二度目の夫(建築家)が最新の技術と設備を駆使して設計した事務所兼住宅である。ところが、不幸にもその夫が自殺したので、早く手放しかったのだろう。豪邸の1階ロビーは取引先の事務所になり、その後、何度となく訪問した。また、スナックにも連れて行ってもらってママと話をしたこともある。ほがらかな普通のママだった。彼女の名前は高橋裕子である。

自殺した夫の名前は野本雄司さんで、高橋裕子に2億円の保険金が支払われた。彼女には1億3千万円もの借金があったが、残金でスナックを開店できたのである。後になって判明するが、裕子は雄司さんにウイスキーと睡眠導入剤を飲まし、寝入ってから腹を刺して、割腹自殺に見せかけた。当時、警察は自殺と判断した。

高橋裕子は、その後、店の常連の高橋隆之さんと三度目の結婚をした。しかし、店の経営も隆之さんの仕事もうまくいかず、金に困るようになった。彼女はスナックの客と関係を結び、子供を堕ろしたと云っては恐喝を繰り返した。また、高橋隆之に多重の保険金をかけ、風呂場で殺害した。これが世にいう「福岡スナックママ連続保険金殺人事件」である。

裕子は裕福な家庭に生まれ育ち、東京の武蔵野音楽大学ピアノ科で学んだ。そこで出会った最初の夫がギャンブル好きで借金を作り、6年で結婚は破たんした。そのあたりから金に執着する人生が始まった。2004年に福岡県警に逮捕され、2011年最高裁で無期懲役が確定した。

取引先のKさんは既に亡くなられた。もちろん事件とは関係ない。最近になって豪邸にお邪魔してご仏壇におまいりした。奥様やご子息様と懐かしい話などをしていて、ふと気づいた。どう考えてもここが最初の殺人現場だった。

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