Monthly Web Magazine May 2016
■■■■■ 趣味の中にもマナー かまちまさこ
またSL山口号に乗ってきた。
沿線の住民たちはみな手を振ってくれる。知り合いが乗っているわけでもないだろうに、家の窓から、庭から、畑から、子供連れも農作業中でも手を休め手を振ってくれる。日本人っていいなあと思う瞬間だ。 ところが、最近撮り鉄のマナーの悪い人がいるらしい。住民が植えた菜の花を踏み散らかしているらしい。確かにSLの車窓から何十人のカメラマンが並んでいるところがよく目に入る。それどころか、山林の中を走っているときでさえ、なんでこんなところに人がいるの?と思うほど、線路の近くでカメラを構えている人さえいる。危ないにもほどがある。一体どこから入ってきたのかさえ検討もつかない程の山林だ。
SL弁当を食べたときごろから、トンネルが続いた。ところが今回はモーモーと煙が入ってきた。初めて乗った人はSLってこんななの?と言っていたが、これはどこかの窓が開いているのではないのか、と思うほどだった。なぜだかわかった。撮り鉄ではなく音鉄の存在だ。窓からしっぽのようなマイクを外に出してSLの音を録音しているらしい。トンネルでもその状態だ。その隙間から煙がどんどん入っているのだ。さすがにタオルでふさいでいたが、そんなものでは長いトンネルでの煙は対処できない。おかげで後部車両の車内はどんどん煙ってマスクをつけ始める人もいた。 趣味はわかるが、せめてトンネルの中だけでも窓を閉めるマナーを守ってもらいたい、せっかくの日本人の優しさが台無しではないか。