Monthly Web Magazine May 2016

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■■■■■ 安曇野の桜 川村由幸


信州安曇野で観桜をと思い立ったのは、昨年です。残念ながら訪問日程の設定が遅く、花期の終わりで安曇野を断念して、少し北の高山村での観桜となった昨年でした。
今年は花期を逃すまいと昨年の十日ばかり前の日程で安曇野を訪れました。

最初は「本村の大しだれ桜」、田んぼの中にポツンと立っています。

   

いくらか満開を過ぎ、黄緑の葉が出てきています。廻りは水田ばかりでとてもこの桜が目立ちます。
樹齢は250年、墓地の守り木であったのでしょう。

ここから西の山岳方面へ車で10分とかからないところに堀金三田のしだれ桜が2本、南北に並んでいます。

  
 

  

人が一緒に映っている1枚がありますから、桜の大きさが想像できると思いますが、これらも巨木と呼べる桜です。
ちょうど満開です。観桜をしているのは我々一行のみでした。静かに自分だけの桜を楽しみました。
ここも桜の根元は墓地でした。

さらに西に山を登って、田多井観音堂の桜をめざします。
この地区は山肌に沿った坂道でとにかく道が狭いのです。車1台がやっとの幅、狭い道で動転したこともあり田多井観音堂を見つけることができませんでした。かわりに別の桜に出会えました。

    


2本のみごとなしだれ桜です。一方は樹高が大きい分枝垂れた枝が長く垂れ下がり、みごとな姿をしています。
これほど背の高い桜を今までに見たことがありません。隣の桜も巨木なのですが目が行きません。
ここも墓地で結構な数の墓石が並んでいました。

最後が田多井から南に下ったところの北小倉のしだれ桜です。

    


この桜は巨木中の巨木でした。滝桜にも負けていないと思います。今回安曇野で見た桜で一番の名木です。
花の数も多く、木の勢いを感じます。個人の墓地の守り木のようで、桜に個人のお名前が付いていました。
こんな桜があまり知られもせずに存在していたことに驚いています。

安曇野には、これ以外にも見ごたえのある桜が存在しているようです。田多井観音堂の桜も残念ながら見ておりません。田多井地区は歩けば、もっといろいろな桜に出会えそうです。
ところが、安曇野の桜は情報が少ないのです。開花情報はもちろん、位置情報も少ないのです。
安曇野市自体が桜を観光資源にしようとしていないように感じます。
推測ではありますが、その理由はまず、桜のほぼ全てが墓地がらみであること。観桜する方も墓地に踏み込むのは気持ちの良いものではありません。関係者の理解も得ずらいでしょう。
もうひとつは、現状桜の近くに駐車場がないのです。数台置ける空き地のあった所は存在しますが駐車場は皆無でした。
さらに北小倉のしだれ桜など、駐車場は道路、畑の畦道を歩いてしか桜に近づけないという位置にありました。

そんなわけで、現状で高遠や高山村のように観桜の観光客が集まってはいけないのだと思います。
安曇野市には他にも観光資源が多くあります。上高地が開く前に観光客を集める必要もないのでしょう。
安曇野の桜は、このまま多くの人に知られず承知している者だけがひっそりと観桜を楽しむ場所でいいのだと思います。

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