Monthly Web Magazine July 2016
今までやるべきかと思っていて、手持ちのソフトではできないかとあきらめていた「あおり」補正やレンズ歪補正がフリーソフトでできることが分かり、おそまきながら色々試している。
レンズ補正は今使っているペンタックスK5にペンタックスのレンズを付ければカメラがやってくれるのだが、サードパーティレンズを付けるとそうはいかない。使いやすく多用しているタムロンの18-200mmズームではひずみが出るのをあきらめて使っていた。
ネットでカメラの補正ソフトについて少し調べているとどうやらフリーソフトで遠近法補正(あおり補正)ができるソフトがあるらしいと解り早速ダウンロードして使っている。gimp−2.8というソフトだ、知らなかっただけで大分前から高機能で知られているようではある。
まず便利さを感じたのが、講演で投射されるパワーポイント画像を斜めから撮っても四角のスライドに補正して戻せるというところだ。手元にプリントが配られない発表が結構多く、メモするより写真に撮っておくことが多くなっていた。ちょっと手間ではあるが、補正すれば見直す時のストレスは随分減る。(テレビ画面を横から撮ってこれを「あおり」補正した例を示す。写真を撮る場所の自由度がかなり増す気がする。)
実際には遠近法の補正を選択し、逆変換を選んで画面に出てくる格子を真っ直ぐにしたい辺に合わせて変形をクリックするとあおり補正した画面が表示される、これを適当なフォルダにエキスポートすれば出来上がりとなる。
建築物の写真などでひずんだ形の柱組となってしまうことがあったが、この機能を使えば高いあおりレンズを使わずとも、歪のない素直な写真にすることができる。
元の画像にレンズ歪の影響があればまずこれを補正して後にあおり補正すべきとなる。
レンズ歪補正も幾何学的なものだから同じソフトでできるのではないかと探すと補正のプラグインがあって直ぐにインストールする、ペンタックスK−5とタムロン18-200mmの組み合わせも選択できて補正してくれるようだ。早速試すと、三十三間堂を真横から撮った写真に現れていた太鼓のような歪が綺麗に取れた。(左が修正前、右が修正後)。なかなかいい。
歪が多くなりがちな建物の内部の写真にレンズ歪補正とあおり補正を続けて行った例も示すが随分とすっきりした写真が手軽に得られる。(例は大徳寺塔頭・龍源院の室内、ふすまのラインが曲がって倒れていたのが気持ちよく修正できている。左が修正前、右が修正後)
カラーも含めて色々いじって遊んでいると時々アートな雰囲気の結果に至ったりもする。テクニックが結局アートを生むという歴史がアートにはあるように思うが、これもアートを生み出すといっていいのかもしれない。
写真の補正だけでも十分面白い世界が展開しているようで、本当に世界はおもちゃ箱のように面白いと思ってしまう日々が今日も過ぎて行く。