Monthly Web Magazine Aug. 2016
■ おばちゃんカメラマンが行く@キリコ祭り 事務局
7月から9月にかけて石川県の各地でキリコ祭りがおこなわれる。
軽快なお囃子とともに、大型の燈篭を模した山車を引き廻す荘厳なお祭りだ。
今回は、石崎宝燈祭りと宝立七夕キリコ祭りの撮影に行った。
宝立のキリコ祭りはキリコとしては石崎と大きさは等しいが、浜辺で動き最終的に入水し、フィナーレは花火で演出するという一連の流れは圧巻だ。
石崎は狭い堂前に揃い一基ずつ乱舞してお披露目し、町内を廻って行く。
漁師町特有の狭い路地で、山車がやっと通れるくらいの幅だ。
見物客を押しのけながら若衆が掛け声をかけ路地を曲がる。
お囃子もあおるかのように激しくなる。やはり祭りは近くで担ぎ手の息づかいを感じたい。
ところで、この地方 家の広間が公道に面しており、まさにキリコ祭りのために作られたのではないかと思うほどだ。
どの家も戸を全開にし、簡単な衝立や御簾がかかっている。
夜になれば中は丸見えで、お膳の上のごちそうから酔っぱらったおじさんまで見え隠れする。
お盆には帰らずとも、キリコ祭りには地方に散った親戚や友人が返ってくると聞く。
開け放した広間に帰ってきた知り合いが子供を連れて挨拶している姿を何度も見る。
必ず寄ってけ。上がれと勧める。なんともほほえましい慣わしだ。
観光客が大きな家の広間にあった大仏壇に感激したのだろう。しばらく眺めて、カメラで撮ろうとしたところ、中のおばさんが出てきた。
都会だと中を撮るなととがめられるのだが、おばさんは仏壇の自慢話を始めた。
なんとフレンドリーなんだろう。
何とかなるだろうと夕食を持たず行った我々に、自分たちのためにわざわざ取り寄せた笹寿しを譲ってくれた商店のおばさんもいい人だった。(この日は仕出しで忙しく小売店では食料調達は困難)
祭りは住民あっての祭りで、山車だけではなくその土地の人たちの暮らしぶりも感じることで、面白さが増してくる。
カメラでこの感動を切り取る事は難しいと実感する。