Monthly Web Magazine Sep. 2016

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■ 夏の散歩   田中康平

暑い夏は昼間はあまり動けず運動不足気味で、せめてもと毎朝起き掛けに近くに3つある溜池の公園を巡回する散歩を行っている。

散歩しながら野鳥の観察や雲の観察もしっかり行っているがこれがいい。

夏の時期野鳥で面白いのは孵った若鳥が増えるあたりだろう。

今年は8月の初めに直ぐ近くの溜池にかなりフレッシュな感じのするチュウサギが4羽位来てうち2羽だけが居残ってしばらくいた。

チュウサギは渡り鳥で準絶滅危惧種だから一応珍しいことになるが普通はサギか、で済まされてしまう。

近くで巣立った若鳥のようだ。若鳥やヒナはほかの生き物に狙われやすくて、4羽が現れたその日に散歩道の途中で死んだ若いサギをついばむカラスに出くわした。

恐らくは木の上にいて襲われ落下したところを食べられているのだろう。襲ったのはやはりカラスとみるのが順当だ。カラスは時として他の鳥を襲う。これまでもハトを襲っているところや食べているところを見たことがある。

若鳥が狙われそうなのは多くのレストランにおいしいとされる若鳥料理がメニューにあるのをみてもさもあらんと思える。

居残った2羽はそのうち1羽になり最後の1羽も無事育って今週には見えなくなった、そろそろ渡りのシーズンかもしれない、秋が少しづつ近づいているようだ。

   

アオサギの若鳥も姿を見せる。普段は大きくて悪食でイメージが今一つよくないアオサギも若鳥は小さくて控えめで頑張れと言いたくなる。若鳥はいちいち面白い。

8月はほとんど雨が無く連日35度を超える猛暑が続いた。

溜池は水位が下がり濁って苦しそうな姿となっていた。

カワセミのつがいをよく見る溜池もこうなるとカワセミの姿はない。

しかし面白いことに雨が降って水位が上がり透明度が少しは回復するとすぐに現われ始める。

7月の終わりころに姿を見せたカワセミはくちばしの先端に白いところがあって若鳥の特徴を見せていたが、9月のはじめとなった今週久し振りに現われた姿は素早い動きで、若々しいが立派な大人の雰囲気を見せている。どこかで修行してきたのだろう。

  

バンが7月の終わりころ溜池のヨシの茂みでヒナを2羽孵した。

うまくほかの生物からの攻撃を逃げおおせたようで近ごろはしっかりした若鳥になってきたが、それでも常にヒナのようなか細い鳴き声を出し続けていてあたかも親に無事をいつも伝えている風だ。

ちょっと過保護な雰囲気だが生き残る知恵なのかもしれない。

溜池は小さな鳥だけがスイレンの葉の上を渡り歩いたりもできて外敵から身を守るにはいい場所のようでもある。

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風強く吹いた翌日はおやという鳥が現れる。

先週の荒れた天気の翌日は久し振りにカササギが現れた。

ここらでは西の糸島のほうがねぐらのはずだが西風が強いと何かの拍子で来てしまう。

カササギは海外では普通に見かける鳥でギリシャではパルテノン神殿の壁の上に列をなして止まったりもしていた。

日本では佐賀県に集中していて隣接する福岡の西部にも姿を現すが日本のほかの地域にはまずいない。

秀吉の朝鮮戦役で連れてこられたのがいついたといわれるが他に広がらないというのも不思議だ。たまに出くわすとうれしくなる。

 

こんな風にして毎日の朝が始まる。さて9月はどうなっていくだろうか。

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