JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine July 2017

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■ 今年もダメです・・・回復は困難!—琵琶湖烏丸半島の『ハスの群生』 中山辰夫

滋賀県草津市にあった国内有数のハスの群生地(約13ha)—(烏丸半島付近)−が昨年突然に消滅しました。今年もダメの気配です。

昨年と今年の景観

   

この群生地は35年ほど前に発生。例年6月頃から緑の葉が湖面を覆い、7〜8月には花盛りとなり、県内外から数万人が訪れる観光資源となっていました。

突然に発生した異常事態に、県がその実態と再生の可能性について調査を行った結果の発表がありました。

それによると湖底の状況が

 1.1998年に比べ生育を阻害するメタンガスが5〜8倍多い

 2.生育に必要な泥が大幅に消失

 3.枯れたハスの有機物が多量に堆積している

と発表、これらが原因で地下茎が枯死したと推測し、「泥が大幅になくなるなど湖底の環境変化が複合的に関連し合ったことが原因で、人間が元の生育環境を回復することは不可能」とありました。

ハスは同じ地下茎から増殖し、環境の変化への適応力が弱いため、群生地が一気に全滅しても不思議でないとされており、見事だったハス群生の景観を懐かしく思い出すのは画像に頼るしかありません。

 

今年はハスに代わって、特定外来水生植物の「オオバナミズキンバイ」が目立ちました。駆除の手が打たれていますが、繁殖力が旺盛で、その広がりが心配です。

    

琵琶湖はブラックバスに代表される外来魚やミシシッピ−亀の影響で淡水魚の生態異変が起こり、漁獲量の減少は勿論、固有種の存続も危機に瀕しています。

次々と現れる外来生物への対策は大変難しい課題となっています。

 

自然環境破壊の例は他にも多くあります。瀧山さんの報告にある北海道・釧路湿原も外来種のザリガニの増殖で、水生植物が姿を消しつつあると聞きます。

シグナルザリガニ(ウイキペデイアより引用)

最近報道を賑わす強毒アリ『ヒアリ』もその初期対応が重要です。自然を守るという息の長いたたかいは「初期の段階でその芽をいかに摘むか」から始まります。

破壊されたものは元に戻りません。心したいものです。

ハスの群生地と隣り合わせにある草津市立水生植物公園「みずの森」で、ハスの復活に向けて、「ハス100鉢プロジェクト」がスタートしました。(4月23日実施)

     

ボランテイア102人が参加し、泥と肥料をこねて鉢にいれ、100鉢−約60種類−のハス(レンコン)の植え付けを完了しました。

植え付け風景

     

生育状態

 

親子で頑張って植え付けしたハスは成長が順調で、もうすぐ大輪の花を咲かせます。何時の日にか群生地が戻ることを願って琵琶湖を見守りたいと思います。