Monthly Web Magazine Oct. 2017
■サントリーウイスキー・山崎蒸留所 中山辰夫
7月1日から9月5日までの間、日本経済新聞に連載された伊集院静氏の「琥珀の夢」を興味深く読み通しました。
内容はサントリーウイスキーを生み育てた鳥居信治郎氏の丁稚奉公から始まる70年の仕事人としての波乱に満ちた人生を描いたものです。
私の人生で一番長く愛飲してきた「ハイボール」「ロック」−文中に登場するウイスキーの懐かしい名前に出会うごとに、それぞれの時がよみがえってきました。
連載終了後、サントリー山崎蒸留所を訪れました。ここは日本最初のモルトウイスキー誕生の地で、天王山の豊かな森に抱かれた場所にあります。
ウイスキーは製麦、糖化、発酵、蒸留、貯蔵、瓶詰という工程をたどります。重要な発酵や貯蔵の工程では「樽」が使われます。
酒を育てるのは木-樽-といわれます。200年以上生き続けてきた木から樽をつくり、その中でさらに数10年寝かせて原酒が出来上がります。
サントリ—が保有する樽は100万樽に達するそうです。貯蔵庫で静かな時を過ごしている姿は圧巻です。1923年の第1号樽が保存されていました。
蒸留所ではテーブルやいす、床材にもかつて樽だった木材が使われていました。
海外出張時のお土産に「オールド」を買い求めたこともありました・・・。愛飲歴は「トリス」から始まり「白」「赤」「角」を経て「だるま」へとかわり、「響」で終わりました。
懐具合に応じて選んで飲んだボトル−それぞれの段階での思い出にしばし耽りました。
見学の最後はてテイステイング
僅かに赤みがかった琥珀色の液体が小さなグラス注がれていました。ミズナラの樽で育った原酒(濃度50度)も頂きました。
口に含むと甘味の次に香りが膨らみ、余韻が長く残りました。
我が家には何故かナポレオン「SOARER」が1本未開封で残っています。
今や世界遺産に登録された「シドニーオペラハウス」の竣工(1973年)記念として発売されたものでしょうか。
長い保管で味も変わっていると思います。このまま飾りとして残そうか、味わおうかと思案中です。
All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中