JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Dec. 2017

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■ 三島池と年末 中山辰夫

紅葉のシーズンが終わりました。今年も方々に出かけました。新規、再訪様々でしたが幸いお天気に恵まれ、光り輝く光景に出合えて満足でした。最後に訪れたのは湖北の米原市池下にある「三島池」でした。

池は北に伊吹山、南に霊仙山を配した農業用水池として今から約700年前に造られた楕円形のため池、規模は周囲約780m、面積約4万㎡です。全国で約21万か所あるため池の中から「ため池百選」に選ばれ、また伊吹山西麓地域として日本遺産にも登録されています。

 

車で行けば訳はないですが、JRで行くには多少不便な所。秋に訪れたい思いがやっとかないました。期待通りの光景を目にしました。

紅葉に染まった池面と周りが静かに雪のシーズンに備えている感じでした。この地域は12月、雪が三回降ると伊吹は雪の山に変化します。

マガジン発行の頃の伊吹山は初冠雪も終わり深い雪で覆われていることでしょう。

伊吹山の姿が池面に写しだされる光景は「逆さ伊吹」と呼ばれ、特に冬、雪を冠した逆さ伊吹の姿は一幅の絵とされ、その美しさは感嘆に値します。でも天候の影響が大きく、なかなかタイミングが合わないようです。

このあたりは昔から鳥獣や魚貝類が保護されてきました。1964(昭和36)年から鳥獣保護区に指定され、開発が規制されています。

日常の水位は50cm前後で、水質は清冷、多くの生物が生息し、水鳥や種々の野鳥が飛来し、マガモの自然繁殖も確認されています。

訪れたのは11月28日、マガモが主でしたが、今頃はマガモの数や、他の野鳥の種類が随分と増えているはずです。冬場が最も多く飛来します。

  

三島池周辺はゲンジホタルの生息地で、毎年6月に入ると多く見られます。整備が進み環境保護が地元民と共同で進められている様子が分かります。

    

ご婦人に出合いました。三日にあけず、食パン1〜2山を持って池を訪れます。鴨もよく慣れて待ってたように近づき、ご婦人が池縁に立つと這い上がってきます。

 

パンの取り合い、壮烈な争いが起こります。ご婦人には年ごとの四季の違いが手に取るようにわかるようです。訪れる野鳥の数にヤキモキされています。

このご夫人、健康維持に大層努力されているようで、池へ来るのも運動を兼ねてのこと。

一日の日課として、1=一回大声で高笑い、10=10人の人と声の掛け合い、100=字を最低100字書く、1000=活字を最低1000字読む、10000=一万歩歩く

以上を徹底して守っているとのことでした。廻りからも何かを継続して行っている話をよく聞きます。

私ごとで恐縮ですが、1月2日生まれのため、12月も15日が過ぎると年を重ね終えた気分になります。取りあえず目の前の傘寿を無事迎えることが目標です。

感心ばかりしていないで目標達成の努力を即実行と思いつつ、年末を迎えます。空約束にならないよう・・・・。

同じ場所も四季で様相がガラリと変化し驚かされます。感嘆する喜びをいつまでも味わえるよう元気でいたいと思います。

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