Monthly Web Magazine Mar. 2018
福岡に転居してもう5年になる。あちこち出かけているがまだ理解しきっていない場所だらけのような気がする。
今は糸島が面白い。福岡市のすぐ西にある。
怡土郡と志摩郡という2つの地域が明治になって一緒になって糸島という名前になった。
志摩郡の方は日本書紀では嶋郡と表記され大昔は海面が今より高く嶋郡は文字通り島だったというのが定説になっているようではある。
確かにflood.firetree.netの地図では僅かに海面が上昇しただけで糸島水道が出現して糸島半島は島になるようだ。
魏志倭人伝にある伊都国というのが怡土郡の昔の姿だと広く考えられているようで国内最大の銅鏡が出土した王墓平原遺跡もこの怡土側にある。
また、支石墓であるドルメン遺跡は志摩側に見出されていて朝鮮半島からの文化伝搬ルート上に糸島が位置していたと思わせる。ドルメンに埋葬されていた遺骨は渡来人でなく縄文系の色濃い骨だったというから朝鮮半島との行き来がふつうに行われ文化そのものが流れてきて古来からの日本人を変えていったようだ。そんな証拠が残されているところも面白い。
今の時期の糸島は牡蠣小屋がいい。漁港にビニールハウスが並び中で取れたての焼き牡蠣が食せる。
牡蠣というとあたると思っていて現実に関東にいた時はもらった牡蠣や飲み会で出された牡蠣に何度も当たった。
そういう体質かと思っていたら、牡蠣に当たるというのは殆どがノロだとある時知って、そうならば十分に火を通した牡蠣なら大丈夫だろうと数年前に糸島の牡蠣小屋を訪れた。
食べて数日たっても異変は無く確かに大丈夫だった。
ここらの牡蠣小屋では牡蠣そのものが殺菌されてるとうたったり十分火を入れた焼いてくださいと焼き方指導があったり、牡蠣のあたりを避けるべく心を砕いている雰囲気があって、ここなら大丈夫かと思わせる。
どの小屋でも牡蠣1Kg1000円というのが相場で飲み物は持ち込み自由と気楽で割安なのがよくて随分流行っているようだ。
糸島の加布里・船越だけで10店くらいある。以来冬になると港のカモメ見物も兼ねて1度は出かけることにしている。
今年は梅もいいらしいと糸島の小富士梅林にも出かけてみた。江戸時代からの梅林らしい。
庭木のように手入れされた梅ではないがメジロが飛び交い海を見下ろしながら梅林を散策するのは心地いい。
ここでも辺りには重文の平安仏があったり前方後円墳があったり明治の豪農邸があったりする。
手軽で美味しい食とともに古代から近代にいたるの遺跡・文化財が点在し流れていく歴史が感じられるところが糸島の面白いところと思えている。九州はどこでもそうだと言われればそうかもしれないが。
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