JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine June 2018

Back number


■  末期を迎えたNikon 1 V2 野崎順次

2011年の暮れに家内がニコン最初のミラーレス小型カメラNikon 1 J1を購入した。色は彼女の好みの白である。なかなか良さそうなので、私はサイドカメラ用に、ファインダーの付いたV1にした。カメラ撮影とは脇を締めてぶれないようにするのが原則だから、ファインダーがないと頼りない。私はそういう世代だ。

約1年後に早くも画素数など諸性能がアップしたV2がでたので、しぶしぶ買い替えた。いろいろ性能アップがあるようだが、あれこれ機能があり過ぎて、よく分からない。とにかく、私の設定は、

ピクチャーコントロール: スタンダードor風景(原則的にビビッドは好まない)

ホワイトバランス: Autoか昼光、

ISO: Auto 160-800か400

それで、Pプログラムオート、中央部重点測光、シングルポイント、RAW。

        

使い始めると、小さくて軽くて白い外観が上品だし、電池収納部のグリップ感が快いので、愛用することになった。評判通り、ピントがさっと合う(合焦点速度が速い)。また、サイレント撮影は完全無音なので、美術館や博物館でいろいろな方々に気を使わせることが少ない。後にサイレント撮影は「いけない」盗撮を助長するというので、法律で禁止されてしまった。今となっては、V2の完全無音撮影は貴重である。

 

私にとって非常に特殊な機能もいくつかあり、特筆すべきは次の三つである。

① 連写速度がすごい。1秒間に5コマ、15コマ、30コマ、60コマ。だが、あまり使わない。コマ数が増えるとRAW現像が大変だ。60コマ連写など、目の前を吉永小百合さんが通り過ぎるような状況でなければ、不要である。運動会で走る孫の撮影でも、5コマで充分である。ゴルフのスウィングを60コマ連写で撮って分析するという使い方もあるそうだが、私はゴルフをしない。

② モーションスナップとは、シャッターを全押しして静止画を撮影した時に、その前あるいは前後約1.6秒を動画として記録するモードである。これは不思議な機能で、シャッターを押すことを予想して、その前から動画撮影がカメラが始めているということになる。よく分からない。ただし、1日試してみたら、確かに、短い動画の連続となったが、ただそれだけのことで、もう1回見直す気にもならない。でも、不思議だ。

③ ベストモーメントキャプチャーモード。これも昔のことを思ったら夢のような仕掛けである。要するにシャッターチャンスの難しい場合に、ええ加減にシャッターを押しておくと、たくさんの候補写真の中から、自分かカメラがいいのを選ぶという訳だ。なかなか良さそうだが、とっさに設定して撮影できるほど、頭も手も記憶しないので、辛気臭いと思ってしまう。

それとフラッシュ撮影の恥ずかしい失敗談がある。V2には内蔵ストロボがあるので、時々使っていたが、2年くらい前から2重写しが目立ってきた。スローシャッターのズレの中に、フラッシュ撮影の輪郭が見えるのである。ここでカメラの設定間違いではないかと考えるのが普通だが、なぜか、このカメラの特性かなと思ったりしていた。別売りのスピードライトを購入しても変わらなかった。

  

結局、ニコンプラザ大阪(私の勤務先のすぐ近く)の女性スタッフに設定間違いを指摘されて問題はやっと解消した。プログラムオートの場合、フラッシュモードは、通常発光、赤目軽減発光、赤目軽減発光+スロー、通常発光+スロー、後幕発光+スローの6種類あって、なぜか、2年前から後幕発光+スローになっていた。その間に、私のカメラの腕を信じる友人や家族の依頼に応じて幾多の二重写し記念写真を撮ったのである。最近も浄土宗の御忌に参加した保育園児の撮影に失敗した。

    

設定を通常発光に直して、後期古墳の石室がうまく撮れた。暗い石室でもピントがよく合う。

 

この数年間、ヴァージョンアップを繰り返すキャノンのミラーレスと並行して、V2を使ってきたため、充分に使い慣れなかったのだろうと反省する。また、撮影時には老眼鏡をかけていないので、モニターの再生画像がよく見えていないというお粗末な理由もある。

2014年にはV3が出て、業界は一応騒いだようだが、外付けのファインダーを見て嫌気がさして買わなかった。それで、ずっとV2である。

前述のニコンプラザ大阪には昼休みによく行く。写真展や写真雑誌を見るのが楽しみである。また、ニコンの代表的なカメラとレンズが並んでいる。半年くらい前からか、ミラーレスのNikon 1シリーズ が展示されなくなった。懇意にしているカメラ店の担当のにーちゃんに聞いても、ニコンは次のミラーレスを考えているようだとのこと。今愛用しているV2の部品がなくなるのも時間の問題とか。発売時にはあんだけ騒いで褒め称えたのに。という訳で、世の習いの通り、V2も末期を迎えたらしい。

とはいえ、とにかく、とりあえず、サイドカメラの一つとして、V2を愛用していきたい。

   All rights reserved 無断転用禁止 登録ユーザ募集中