JAPAN GEOGRAPHIC
Monthly Web Magazine June 2018
■ 粗忽者に使われるかわいそうな機材たち 大野木康夫
今年4月、芦生のネイチャリングガイドツアーに行く道で立ち寄った美山北の茅葺集落でソニーのビデオカメラを豪快にアスファルトに転がしてしまいました。
ビデオカメラは、後部の撮影ボタンやズームボタンが全く作動しなくなったので、芦生では液晶ディスプレイで操作していましたが、帰って映像を確認したら、音声がまったく記録されていませんでした。
ネットで中古価格を確認し、修理見積がその3分の1ほどであったのを確認して修理することにしましたが、3週間後の5月18日にようやく戻ってきました。
交換された部品が同梱されていたので、一緒に撮影した写真がこれです。
本格的に写真を撮るようになったのは、Japan Geographic の暫定通信員にしていただいた平成22(2010)年11月からです。
以来、静止画はPENTAX Kマウントの初心者向け〜中級向けのカメラとその交換レンズを、動画はSONYのハンディカムを使って撮影してきました。
今回の故障により、この間、いくつかの機材を壊してしまったことを思い出しましたので、追悼の意味を込めて振り返りたいと思います。
まず初めに壊したのは、K−5Ⅱです。
買ってちょうど1年が過ぎた平成25(2013)年12月、雨の中訪問した舞鶴旧鎮守府水道施設の最奥部、岸谷川上流本流取水堰堤で築造年次が入った銘盤を発見し、三脚を使って動画を撮影していたところ、水圧に押された三脚が倒れてしまい、通電しながら水没したためにショートしてしまったものです。
帰ってから修理に出しましたが、修理不能という判定になりました。
岸谷川上流本流取水堰堤
左岸側の階段で水没
次は、平成26(2014)年4月、桜の吉野山を早朝から訪問し、中千本から上千本に登る途中でベルボンの重い三脚を伸ばした途端、1本の足の伸縮部からプラスチックの部品のかけらがこぼれ落ち、その部分が固定できなくなりました。
故障した後の撮影では、故障部分を常時縮めて固定し、2段だけで撮影することになってしまい、大変苦労したことを覚えています。
故障前→故障直後→故障後
次は、平成27(2015)年8月、立山の白岩堰堤体験学習会が雨天中止になった日に、雨の中の立山室堂を撮影した後、称名滝を撮影していたら、突然、K−5ⅡSの前ダイヤルが利かなくなりました。
雨の立山室堂ではカメラにシャワーキャップを付けて簡易カバーにしていたのですが、雨が上がった称名滝では簡易カバーなしで撮影していたので、滝のしぶきの影響で不具合が生じたのかもしれません。
K−5ⅡSの前ダイヤルは、シャッタースピードの調整に使うので、以降はマニュアル撮影ができなくなってしまい、称名滝の後に撮影した立山博物館、中島閘門、東岩瀬、浮田家住宅では、Pモードに固定し、後ろダイヤルで絞りと露出を補正するという面倒な撮影を余儀なくされました。
幸い、K−5ⅡSは修理ができたので、予備機として保有しています。
室堂
称名滝
故障前→故障後
立山博物館、前立社、中島閘門、東岩瀬、浮田家住宅
最後は、平成29(2017)年4月、下伊那の桜を巡っていて最後に訪れた矢野愛宕様の桜で、桜の下に入って撮影していたら、突然、オートフォーカスで撮影することができなくなりました。
原因は、便利使いで使用頻度が高かったズームレンズDA18-270mmの接続部の金属端子が折れてなくなっていたことでした。
頻繁なレンズ交換で金属疲労による故障だと思われ、以降、レンズ交換時には一層慎重に取り外しを行っています。
故障前→故障後(マニュアルフォーカス)
機材の故障は、経済的な負担もさることながら、故障が起きた時の精神的なショックや後悔の念での負担が大きいので、精密機械としての慎重な取り扱いを心がけていますが、生来粗忽なもので、一瞬の油断で数々の故障を経験してしまいました。
今の機材には、なるべくこういうことが起きないよう、自戒したいと思います。
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