Monthly Web Magazine Aug. 2018
8月5日の日曜日、桑名に石取祭の本楽を見に行きました。
石取祭は国指定重要無形民俗文化財で、ユネスコ無形文化遺産にも指定されています。
祭車(さいしゃ)と呼ばれる山車を各町内ごとに繰り出しますが、祭車には太鼓と大鐘が取り付けられ、それを打ち鳴らしながら進んだり、曲打ちを披露したりするので、「日本一やかましい祭」と呼ばれています。
祭が動き出すのは午後からなので、午前中は、旧諸戸氏住宅(六華苑)を見学しました。
六華苑は桑名の町の北郊に位置しており、ジョサイア・コンドルが手掛けた洋館とそれに続く和館、池泉回遊式の庭園で知られています。
訪れる人も少なく、静かなたたずまいでした。
和館の座敷に座っていると、セミと前撮りの一行の声だけが響いており、風が吹き抜けて、久しぶりに日中に涼しさを感じることができました。
午後になると、町の中心部に祭車が集まってきます。
夕方6時半から桑名宗社(春日神社)前で行われる渡祭に備え、38台の祭車が渡祭順に並ぶのです。
祭礼行列は、祭の中心を担う青年会は浴衣や羽織姿で、囃子は主に子どもたちが担います。
この日の桑名の最高気温は37.8度、一時からすれば少しましになったとはいえ、うだるような暑さの中、祭礼行列も休み休み進んでいきます。
沿道の方が道に水をまいたり、冷たいお茶の接待をしたり、日陰に床几を出したりして行列をもてなすなど、地域に根付いた祭となっています。
この後石取会館で涼んでから、夕方に渡祭が行われる桑名宗社前に行きました。
渡祭が始まる6時半が近づくにつれ、人が多くなります。
渡祭が始まりました。
祭車は南側から来て方向転換をし、山形提灯や後ろ幕を立てて楼門の前に停まります。
青年会は、祭歌「おかっつぁん」を歌いながら、祭車の後ろに集まり、太鼓の打ち手が新しいバチに巻かれたのし紙を勢いよく外して、力いっぱい叩き始めます。
大鐘は4つ又は6つ付けられており、叩き手は体重を預けて力いっぱい叩くので、途中でバチが折れるのを何回か見ました。
叩き方は祭車ごとに微妙に変わっています。
20台ほど渡祭を見てから、田町の交差点に行って祭車の曳き別れを見ました。
渡祭を終えた祭車が4台ずつ交差点に集まって同時に鐘と太鼓を打ち鳴らします。
近くまで行くことができるので、迫力があります。
祭は深夜まで続きますが、10時頃になって、暑さのためビデオカメラのバッテリーが早くなくなってしまったので、帰ることにしました。
祭車が曳き別れを待っているのを見ながら、六華苑の駐車場に戻りました。
まだまだ暑い夜は続きます。
石取祭は、文化財というよりも、地元で愛され、根付いた祭という側面の方が強いと思いました。
この日、祭が始まったのは午前2時の叩き出しということを考えればすごいエネルギーで、一年の中で桑名が一番盛り上がり、熱くなる(猛暑を考えれば暑くなる?)日だと思います。
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