JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Sep. 2018

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■台風直撃の日 野崎順次

9月4日、台風21号は非常に強い勢力を保って、正午頃徳島に上陸、そして午後2時頃神戸市西部に再上陸した。そのような強い台風が来るのは25年振りで、来る前からテレビのニュースで「これまで経験したことのないような強い台風」を繰り返していた。徳島に来た段階で、中心の気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45m、最大瞬間風速は60mで、暴風圏は中心の南東側190k以内、北西側90㎞以内であった。神戸市の上陸地は垂水区あたりとすると、その東に当たる我が家は約40㎞、大阪駅前の会社は約50㎞だから、まさに直撃である。その後、垂水区に住む友人に聞くと、突然風が止まり、青空が見えたようだったというから、台風の目が通過したのである。

別に会社を休んでもよかったのだが、野次馬根性で午前中少し出社することにした。尼崎市内のバスもJRもよく空いていた。ほとんどの人が休んでいるのだろう。午前8時40分、JR大阪駅の南北連絡橋改札口の前にはカメラの列である。テレビのレポーターもいて、どこかで見た顔である。後で調べたら、阿部裕二だった。悔しいけど格好いい。

      

地下街のディアモールはほとんどが閉店していて、通勤人も少ない。

  

会社から見下ろす梅田一丁目あたり、人がほとんどいない。37℃の酷暑の昼間もそうだったけど。近くで営業している店舗は一部のコンビニと吉野家(牛丼)、松の屋(とんかつ)だけだった。まさに嵐の前の静けさである。

 

JRは午前10〜11時、私鉄は12時頃に運行停止の予定なので、2時間足らず仕事をしてから帰宅した。JR東西線北新地駅から当日最終の午前10時52分発の西明石行き普通に乗った。尼崎駅から宝塚方面、大阪方面への乗り換えはないので、当駅最終電車である。プラットフォームに人影はない。

   

同じ駅ビルのエディオンは営業していたが、客はいない。

  

再び、JR尼崎駅。

 

尼崎市バス(阪神バスに委託)は通常通りの運行である。以前の台風の時もバスは最後まで動いていた。午前11時36分発のバスを待つ間に風が強くなってきた。

正午頃、小雨が降ってきた。風が強くなって、傘が逆になった人を撮影した。この直後、私の傘も逆になってしまった。

午後1時20分頃、さらに風雨が強くなってきた。家の近くを撮影したが、怖くなって直ぐに止めた。

午後2時から3時が風雨のピークであった。家が揺れ、窓ガラスがビシビシ鳴った。外を見ると、何かプラスチックの屋根板のようなものが飛んでいたり、細かい葉っぱ(もしかしたらセミ?)のようなものがたくさん水平に飛んでいく。風速40mを越えていたようだった。

午後3時頃から停電になった。電灯、テレビが消えた。エアコンも使えないが、さほど暑くないから耐えられる。冷蔵庫の食品が気になる。とりあえず、よく冷えた白ワインは直ぐに飲むことにした。家内はアイスクリームを食べた。ウォシュレットも機能しなくなったが、家内がバスタブに水を溜めているので、いざとなれば何とかなる。結局、家の停電は午後7時まで続いた。

午後5時には、風も雨もおさまって外に出た。コンビニもスーパーも閉店していた。停電すると何も機能しないのだろう。冷蔵冷凍食品はどうなるのだろう。驚いたことに信号も消えていた。少し遠くの信号はついていたが。

     

少し離れたコンビニは開いていた。停電がなかったのだろう。お弁当、おにぎり、サンドイッチの棚はほぼ売り切れていた。客が押し寄せたというよりも、商品補充のトラックが動けないのだろう。

  

台風は4日の夕方に北方に去ったが、特に尼崎市付近では、停電による信号の停止や交通標識の損傷は翌日になっても完全には復旧しなかった。そのため、市バスは翌々日の朝になっても運行を再開していない。

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