JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine Oct. 2018

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■ 姉小路バレー 大野木康夫

私の職場は京都でも高い建物が立ち並ぶ御池通にあるビルの10階に間借りしています。

窓から南側を見ると、近代的な街並みが広がりますが、御池通のすぐ南、姉小路通の周辺は建物の高さが低く、まるで谷間のように見えます。

 

姉小路は伝建地区のように、伝統的な建物が密集しているわけではなく、伝統的な建物と近代的な建物が同居している状況です。

訪問したのは早朝でしたが、門掃きをされている方もおられ、職住一体の建物が多い地区だと思いました。

        

伝統的な建物の例

      

伝統的な木製看板も多く掲げられています。

     

バブル期に京都でもビル建築が増え、住環境が破壊されることを危惧した姉小路界隈の方々が、学区の枠を超えて取り組まれ、基本理念としての「姉小路界隈蝶式目平成版」や建築協定を策定して取り組まれた結果、今の街並みがあります。

京都の旧市街で「学区」の意味するものを考えれば、それを超えて取り組まれた危機感は相当なものであったと思います。

 

建築協定の内容を反映した地区計画により、姉小路界わいには高層建築は建たず、地域景観づくり協議会制度により、この地域で建築関係の申請を行う場合は、姉小路界隈景観づくり協議会との協議(景観レビュー)を行うことが義務付けられているので、今後の街並みは維持されていくことになります。

地域の景観や住環境を守るのは、まず、地域住民のなみなみならぬ思いと、それを行動に移す人材が必要で、姉小路はそれがあったからこそ、成功例となったと思います。

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