Monthly Web Magazine Feb. 2019
いち早い春を探しに紀伊半島へ行ったが、花の便りはまだ早く、そのかわりちょっと罰当たりな話を耳にした。
和歌山県では仏像の盗難被害が多発しているらしい。
どこへ行ってもちらほら仏像盗難の話は聞くが、昨年10月には県立博物館で、「和歌山の文化財を守る」という企画展が開催されるほど頻発している。
県内で平成22年〜23年の間に60か所の寺から計172体、昨年以降も和歌山市、紀の川市、岩出市の10か所から計60体以上の仏像などが盗まれている。
多くの仏像の盗難は転売目的で、運良く戻って来ても一部が壊れたり、紛失したりで、元の状態に戻すのは難しいようだ。
今回有田川町の薬王寺観音堂に,お参りしたが、ちょうど初午の日で、町の人が酒、餅、みかんなどのお供えをして集っていた。運よく中をお参りすることが出来た。町の方は上がっていいよとか、中の仏像の説明などしてくださって、気さくな雰囲気だったが、お寺の方はそうはいかないらしい。
ここもご多分に漏れず仏像盗難を警戒してピリピリしている。
盗難対策で中の撮影は禁止ということだ。
仏像の管理と一般公開の難しさを実感した。
後日、和歌山の高校生が、盗難防止のために3Dプリンターを使って仏像のコピーを作り、本物の代わりに公開しているというニュースを見た。コピーと本物を並べてもどちらが本物か見分けがつかないものもあるそうだ。
将来的に私たちが拝んでいた仏像が3Dコピーだったというケースが増えていくことだろう。
人々が3Dコピーに向かって頭を下げて手を合わせ、博物館で腕を組んで本物の仏像を鑑賞している様を想像すると、なんとも滑稽だ。
今月のにゃんこ
三重県志摩市 上之郷 伊雑宮近所
うっかりはらんでしまったことをご主人様にとがめられながらも懸命に生きる「お小夜」(筆者命名)
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