JAPAN GEOGRAPHIC

Monthly Web Magazine June 2019

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■ チガヤ(茅萱)について 中山辰夫

桜が終わり次いでツツジが咲き、その後もお花の開花が続いています。花や木々に関心がないと名前は何度聞いても頭に入りません。

この時期、当地周辺の田畑・土手・川原・住宅地の空地などに群生している雑草が目につきます。5〜6月になると子猫の尻尾のような白い穂をなびかせます。

    

調べると、「チガヤ イネ科」と命名されているイネ科の多年草で、平均的に40〜60cmほどの細長い葉がツンツンと立つのが特徴のようで、ほぼ全国に分布しているようです。

大陸からの伝来でしょうが、その歴史は古く、万葉集には「浅茅(あさじ)、浅茅原(あさじはら、 あさつばら)」と詠まれ、枕草子には「草は浅茅(あさじ)、茅花いとおかし」とあり、ほかに風土記、徒然草にも詠まれています。古代から繁殖力の強さから聖なる植物とされたようです。

その名残の一つに「茅輪くぐり」があります。毎年6月に行われる神社の「夏超の祓(なつこえのはらえ)」に作られる「茅輪」は茅萱・薄(すすき)・萱(すげ)、などが用いられたようです。その由来や、輪の作り方、作法は各神社で異なり諸説あるようです。

 

昔の人は土手崩れ防止や家畜の飼料、堆肥に利用したようです。茅根や若い花芽(ツバナ)、白い穂花は薬用として利用されます。

しかし、周囲で目にするチガヤは今や嫌われものです。世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。

チガヤは種による繁殖だけでなく、地下茎を伸ばしその広がりが旺盛で、一旦蔓延るとその防除が困難な強害雑種の位置付けです。

根こそぎ早目に刈り取らないと効果がないとされています。対策としては防草シートで覆う方法もあるようです。

  

チガヤの花穂は白い絹毛をもった穂です。「絹毛」と書かれていることが多いです。若い花穂はツバナと呼ばれ甘く、サトウキビに似て食されていたともいわれています。

  

この絹毛が飛散して増殖の役目を果たします。たまには耳穴にも入るとか。今は、洗濯ものに付着したら取れないとの苦情が多いようです。

チガヤの「絹毛」に対して、タンポポやアザミは「綿毛」と書かれています。その違いはよくわかりません。

タンポポ

   

アザミ

   

極めて薄っぺらい内容です。少しわかりましたが、すぐに忘れてしまいそうです。

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